何が変わった? ホンダ「N-BOX」弟分の新型「N-WGN」の進化したポイントとは

いざ、新型N-WGNに試乗! 実際の乗り心地は?

 新型N-WGNシリーズの運転感覚はどうでしょうか。ノーマルエンジンの動力性能は、ライバル車に比べると、実用回転域の駆動力に少し余裕があります。車両重量が850kgなので、660ccエンジンではパワフルとはいえませんが、平坦路では扱いやすいです。

 4800回転前後から速度上昇が活発になり、高速道路の合流もしやすいです。エンジンノイズは少し粗いですが、さほど気になりません。

 ターボエンジンは、ノーマルタイプに比べると動力性能が大幅に向上します。2500回転付近からターボが効果を発揮して、1リッターのノーマルエンジン並みに加速します。軽自動車はギヤ比が低く、小型/普通車に比べると速度に対する回転数が高いため、発進直後でも2500回転前後になります。従ってターボの効果が常に発揮されて運転しやすいです。

 ちなみにノーマルエンジンの最大トルクは6.6kg-m(4800回転)、ターボは10.6kg-m(2600回転)ですから、ターボは実用回転域で1.6倍の最大トルクを発揮します。この違いは大きいです。

 しかもWLTCモード燃費は、Custom L・Honda SENSINGのターボが21.2km/L、ノーマルエンジンは23.2km/Lとなり、9%程度しか悪化しません。ターボは動力性能が高い割に低燃費で、効率が優れています。

山道でもパワフルなターボ仕様
山道でもパワフルなターボ仕様

 走行安定性は、全高が1600mmを上まわる軽自動車では、優れた部類に入ります。プラットフォームはN-BOXと共通ですが、N-WGNは全高が100mm以上低く、車両重量は40kgほど軽いです。そのために安定性がさらに向上しました。

 14インチタイヤを装着した標準ボディのL・Honda SENSINGでも、後輪の接地性は十分に高く安心感があります。その半面、峠道などを走ると、少し曲がりにくく感じます。ステアリングは、もう少し軽快で曲がりやすい設定でも良いでしょう。

 ステアリングのギヤ比も少しスローで、Uターンをするときなどは、ステアリングホイールをグルグル回す感覚になります。

 Custom L・Honda SENSINGは、足まわりの設定が異なり、後輪にもスタビライザー(ボディの傾き方を制御する棒状のパーツ)を装着しました。タイヤサイズも15インチに拡大しています。14インチの標準ボディに比べると、操舵感が少し機敏で車両の向きを変えやすく、峠道なども走りやすいです。

 乗り心地は、14/15インチタイヤともに低速域では少し硬いですが、粗さは抑えました。15インチは、ショックアブソーバーの設定などが14インチよりも少し硬いですが、タイヤの指定空気圧は低めで重厚感があります。

 ホンダセンシングに採用される運転支援機能も、注目の装備でしょう。車間距離を自動制御するクルーズコントロールは、十分な実用性を備えます。操舵支援は弱めですが、先行車に追従走行するときのアクセル/ブレーキ制御は良好です。

 N-WGNを総合的に判断すると、上質な軽自動車といえるでしょう。内装ではシートが良く、振動を吸収するので乗り心地にも優れた効果をもたらします。広い荷室とボードを使った収納性、後席下側のトレイなど、日常的な使い勝手も良いです。乗り心地の粗さを抑え、N-BOXに比べると安定性も良いです。

 大人気のN-BOXが欲しいと思ったときも、まずはN-WGNを検討するのが合理的でしょう。N-WGNをチェックして、もっと広い荷室やスライドドアが欲しいと思ったときに、N-BOXに話を進めるのが良いと思います。

 競争の激しい軽自動車とあって、N-WGNは価格も割安です。もっとも買い得なグレードは標準ボディのL・Honda SENSINGで、実用装備を充実させて価格(消費税は8%、以下同様)は133万9200円に抑えました。

 上級モデルを好むならCustom L・Honda SENSINGが良いでしょう。価格は166万3200円で、9灯式フルLEDヘッドライトや15インチアルミホイールが装着され、シート生地も上級になります。

 装備の違いを補正してターボの価格を割り出すと、標準ボディの場合は8万5000円ですが、カスタムは実質4万円で装着されています。つまり標準ボディならL・Honda SENSING、カスタムならCustom L・Honda SENSINGを選ぶのが良いです。

 N-WGNは、実力の高い軽自動車です。衝突被害軽減ブレーキ(通称:緊急自動ブレーキ)も、昼間の自転車や夜間の歩行者まで検知します。ちなみに自転車の検知能力は、高級セダンの「レジェンド」にも備わっていません。

 N-WGNは、軽自動車とあって、日本のユーザーと道路環境を見据えて開発されました。好調に売れると思います。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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2件のコメント

  1. 他のモータージャーナリストさんよりはベタ褒め一辺倒ではないので信憑性があるかなと思いました。
    でも皆さんのご指摘の通り『燃費基準』や『スズキのムーウ”』という誤記事が載ってしまうのは・・
    それはさておきN-WGNは安全快適装備、静粛性、運転しやすさでワゴン三菱ekや日産ルノーDAYS同様に良い軽自動車です。スライドドアや高すぎる頭上空間を必要としないユーザーには同装備付きのスーパーハイトワゴン車より安いです。コンパクトカーの存在が問われていると思います。

    • ご指摘ありがとうございます。訂正いたしました。

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