3列目いらなくない? 使い勝手も良い2列シートミニバン新旧5選
SUVが流行しているとはいっても、日本ではまだミニバンブームが続いています。でも普段は3列シートをたたんでいる人も多いのではないでしょうか。今回はミニバンなのに3列目シートを用意していない「2列シートミニバン」を新旧で5台選んでみました。
かつて一世を風靡した「2列シート専用ミニバン」があった
日本自動車販売協会連合会が発表する2019年1月から6月の登録車販売状況を見ると、4位に日産「セレナ」、5位にトヨタ「シエンタ」、7位にトヨタ「ヴォクシー」、8位にホンダ「フリード」と、ベスト10のなかにミニバンが4台もランクインしています。
3列シートを用意し、いざとなれば多人数乗ることができるミニバンはとても便利ですが、普段は3列目を格納しているミニバンユーザーも多いでしょう。
シエンタやフリードなど、3列目シートを廃したモデルを用意するミニバンもありますが、今回紹介するのは、もともと3列目シートを用意していないミニバン、つまり「2列シートミニバン」です。絶版車からいまも販売されているモデルまで、また国産車から輸入車まで5台を紹介します。
●三菱・初代「RVR」(1991年から1997年)
現行のRVRは、三菱のコンパクトSUVとして、日本では2010年に登場したモデルです。海外では「ASX」や「アウトランダースポーツ」という車名で販売されています。2019年8月26日にはフロント/リアデザインを一新しました。
1991年に登場した初代RVRは、現行モデルの「コンパクトSUV」というカテゴリーではなく、まさに「2列ミニバン」でした。
三菱の3列シートミニバン、2代目「シャリオ」のシャシをショートホイールベース化。全長4290mm×全幅1695mm×全高1625mmのコンパクト&トールボディでした。
特徴は、後席片側スライドドアを採用したこと。また通常の2+3人乗りに加え、後席が300mmスライドする「ロングスライドシート」を採用した2+2人乗りを用意していました。
フロント/リアシートともに完全フルフラットを可能にしていたり、スキーなどの長いものも収納できる「リアシートバックフォールド」機能を採用していたりと、当時のRVブームにも乗りヒットしました。
のちに大型グリルガードを装着してアウトドアの印象を高めた「RVRスポーツギア」も登場、このことも人気に拍車がかかりました。
1997年には2代目にフルモデルチェンジ、このモデルもリア片側スライドドアやロングスライドシートなど、初代RVRのテイストを色濃く残していましたが、2002年に販売終了。2010年に3代目となる現行RVRが登場するまで、8年のブランクがありました。
●ホンダ「S-MX」(1996年から2002年)
ホンダ「S-MX」は、1990年代にホンダが展開していた「クリエイティブ・ムーバー(生活創造車)」の第4弾モデルです。
3列シートミニバンの初代ステップワゴンをショートホイールベース化、全長3950mmと4mを切るボディながら、1765mmの全高と低床フラットフロアにより広々とした車内スペースを確保したモデルです。
前席/後席ともにベンチシートを採用。前席は左右独立してスライドが可能で、後席は300mmものロングスライドができました。コラムシフトの採用により、前席左右のウォークスルーも実現していました。
初代RVRと同じく右側に1枚、左側に2枚のドアを採用していましたが、後席ドアはRVRのスライドドアに対してS-MXはスイングドアを採用していました。
前後ベンチシートを倒せば、完全フルフラットのベッドになるのが特徴でした。まだ「車中泊」という言葉がない時代、S-MXは、若者の「デートカー」として人気になりました。車高を15mm下げた「ローダウン」仕様もありました。
車両価格も164万8000円からと手ごろで、またデュアルポンプ式4WD車も用意するなど販売は好調でしたが、ステップワゴンが2代目にフルモデルチェンジするタイミングで、2002年に販売が終了しました。
●ホンダ「エディックス」(2004年から2009年)
エディックスは、2004年に登場したホンダの2列シートミニバンです。
特徴は、2列シートながら、前3人後3人の6人乗りを実現した「3×2ミニバン」というコンセプトです。3席×2列の6座を独立させて、前後のセンターシートを270mmものロングスライド可能なV字シートレイアウトを採用したことで、全幅を1795mmに抑えつつ、隣りの人と肩をずらして快適な横3人掛けを実現していました。
全長は4285mmですが、6人フル乗車の状態でも439リッターと大容量の荷室を確保、さらに2列目をすべてたたむと26インチのMTBが3台も積載可能な、最大1049リッターのラゲッジルームが実現、さらに前後センターシートを倒せば4名乗車でもスキーなど長尺物も積載できるなど、抜群のユーティリティを誇りました。
登場当時のエンジンは、2リッターのi-VTECと1.7リッターVTECの2種類。とくに156馬力/188Nmを発生する2リッターエンジンモデルは元気で、前1550mm/後1560mm(2WD車)とワイドトレッドを活かして、ロール感の少ない安定した走りを実現していました。
日本では「3人×2列」という独特のコンセプトが市場に受け入れられず、1代限りで終了しました。ちなみにヨーロッパでも「FR-V」の名で販売されました。
故徳大寺有恒さんも言っとられましたが、クルマというのは「人」「一人」を運ぶのにはひどく不経済な道具なんですねえ。散歩の途中すれ違うクルマの中を見るともなく見ていますと、たいてい運転者お一人。買ったことも、もちろん運転したこともありませんから大型の乗用車の長さを正確には知りませんが、かなり場所を塞ぎますねえ、こんな狭い国土なのに。猛暑のせいもあってか、街なかを歩いている「ヒト」はほとんどおらず、動いているのはおクルマ様ばかり。クルマがなければ広いはずの生活道路が、おクルマさまのおかげで、なんと狭いことか。今日も夕方散歩していると、進行方向正面から大型のおクルマ様(いわゆるバンというやつ)が近づいておいでになりました。ところが何を思われたのかおクルマ様は、道の「右端を」「遠慮しながら」「歩かさせていただいております」私の方に車体を寄せておいでになるではありませんか。仕方なくさらに民家の軒下近くに身を潜めながら、ふと後ろを振り返ってみますと、わたくしの後ろの方から別の車が、その大型バン様とすれ違うように近づいて来ていらせられたのです。つまり、わたくしごとき人間は眼中になく、双方の車両がお互い鞘当てをせぬよう左右の車間を取ってすれ違おうとしていらせられたわけであります。『いてもたろかこのクルマ野郎!』と思いましたが、いかんせんおクルマ様は鋼鉄で出来ていらっしゃいます。私は生身の人間なのでした。