人気ジャンルなぜ撤退? マツダとスバルがミニバンをやめた理由とは
小さなメーカーは選択と集中が必要
一方スバルは、2018年3月に「クロスオーバー7」の生産を終了しました。

スバルは、ミニバンを廃止した理由と今後の展開について、次のようにコメントしています。
「エクシーガは、最後はクロスオーバー7になりましたが、生産終了したのは弊社の商品ではこのカテゴリーのニーズがなくなったことが大きな理由です。そのような事情もあり、後継モデルの予定はいまのところはありません。
また、北米で販売されている3列シートSUVの『アセント』については、日本導入の予定はありません。これは車格が大きすぎるため、日本国内のディーラーのピットが対応できないという背景があります。
もちろんニーズが高まれば考えますが、現状ではないということです。とにかくいまは、ほかにニーズのある商品がありますので、そちらに注力したいと考えています」
背の低い5ドアのミニバンの人気は、2000年代のうちに終わってしまったのでしょう。人気を牽引していたストリームとウィッシュも同じように生産終了となり、後継モデルは登場していません。ミニバンの人気の主流は、スライドドアを備えた背の高い箱型スタイルになっているのです。
マツダとスバルが箱型のミニバンを作らないのは、それぞれに理由がありました。しかし、 根底には会社の規模が小さいからという事情があるともいえます。
マツダの日本国内の販売台数は軽自動車をあわせても年間20万台から22万台、スバルは15万台から18万台です。一方のトヨタは、トヨタブランドだけで年間150万台以上と桁違いの規模を誇ります。
販売台数に対して、新型車を開発する費用は、大きなメーカーも小さなメーカーもさほど変わりません。しかも、クルマは進化し続けており、それに比例するかのように開発費用もどんどんと高くなっています。
そうした状況のなかで、小さなメーカーが大きなメーカーと同じ数だけ新型車を開発するのは、経営的にかなり厳しいといえるでしょう。
小さなメーカーがとるべき手段は、“選択と集中”で、その一例が軽自動車です。
かつてマツダもスバルも、独自に軽自動車を開発・生産・販売していました。しかし、限られた会社の力を集中させるために、マツダもスバルも軽自動車の開発・生産から撤退。軽自動車は他社からOEM提供されるものを売るというスタイルとしました。
スバルには「サンバー」、マツダは「キャロル」という歴史と人気のあるモデルが存在しましたが、すっぱりとOEMに切り替えたのです。
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クルマを取り巻く環境は、年々厳しくなる一方です。燃費規制は厳しくなり、先進運転支援システムのニーズも高まっています。そうした要望に応えるには、莫大な研究・開発費用が必要となります。ましてやミニバンは、日本国内だけでしか売れないというニッチな製品でもあります。
そうした状況で小さなメーカーが生き残るには、大メーカーとは違う、独自の道を歩む必要があります。独自性を追求した結果、マツダとスバルはミニバンから撤退したといえます。
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。












































