最後のロータリー車「RX-8」 生産終了後7年経ってもロータリーの開発を続ける理由とは

「夢のエンジン」を搭載した「RX-8」

<

 マツダが「ロータリーエンジン」の研究を始めたのは1960年でした。小型で高出力のロータリーエンジンは当時「夢のエンジン」と呼ばれ、世界中で研究されていましたが、実用化には大きな課題があり、実現不可能ともいわれていました。

 ロータリーエンジンは、一般的なレシプロエンジンとは構造が異なっていて、「ハウジング」と呼ばれるまゆ型の部屋のなかで、三角形のローターを回転して動力を生み出します。

 一般的なレシプロエンジンは、ピストンを往復させて動力を生み出すため、ピストンの上下運動を回転運動に変換する必要がありました。

 それに対してロータリーエンジンは、ローターの回転運動をそのまま伝達できるため、レシプロエンジンより振動や騒音が少なく、また構造もシンプルにできるため、小型で軽量という利点があります。

 1967年にマツダは、世界で初めてロータリーエンジンを搭載した量産車「コスモスポーツ」を発売。以後、ロータリーエンジンを扱う自動車メーカーがマツダのみとなっても開発をつづけ、「ファミリア」や「RX-7」などさまざまなモデルに搭載し、世界で199万台以上のロータリーエンジン車を販売しました。

 1991年には、ロータリーエンジンを搭載したレーシングカーのマツダ「787B」がル・マン24時間耐久レースを優勝します。世界三大レースのひとつといわれるル・マンを、日本車として初めて制覇する快挙でした。

 その後、2002年の排出ガス規制で、当時唯一のロータリーエンジン車モデルだった「RX-7」が生産終了となります。ロータリーエンジンの歴史が途絶えてしまうことが危惧されました。

いまなおファンの多いマツダ「RX-7」

<

 しかし、翌2003年に待望の復活を遂げたのがRX-8です。搭載された次世代ロータリーエンジンは「レネシス」と名付けられ、総排気量654cc×2の自然吸気でありながら、最高出力250馬力、最大トルク22.0kgmを実現。

 デザイン面でも特徴的なクルマで、前席と後席の間にあるピラー(柱)を後席ドアに内蔵し、フリースタイルドアと呼ばれる観音開きのドアを採用しています。

 そのため、通常ピラーに設置される後席シートベルトが、後席ドアに設置されています。そのほかにも、後席まで伸びる長いセンターコンソールや、三角形のローターを模したシフトレバーなど、各部に特徴的なデザインを持つクルマでした。

 RX-8の価格帯は、最後のマイナーチェンジ時(2009年)の車両本体価格(消費税5%込)で263万円から318万円で、6速ATと6速MTが選択可能な全車FR仕様です。

 しかし、2012年には「RX-8」も環境対応の難しさから生産終了されます。最後の特別仕様車「SPIRIT R」は販売計画台数1000台を超える受注を得たため、さらに1000台増産されました。以後、現在にいたるまで、マツダのラインナップにはロータリーエンジン車が存在していません。

こんなにあった? 歴代ロータリー搭載車を画像で見る(40枚)

【注目!】マツダは何が凄い? SUV好き必見な情報を見る!

画像ギャラリー

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

1件のコメント

  1. ルマンで優勝した787B 神の楽器と評されたエンジン音
    私たちの生活にもロータリーサイクルは様々な場所に存在してますよね
    激流を征するのは清流ですからね
    目的は違いますが日産もLD28型ディーゼルにロータリー噴射ポンプを採用してました。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー