マンホールがなぜ観光名所に? 全国に広がるご当地マンホールが増えた理由とは
「足元の芸術」とも呼ばれるマンホールは、普段よく見るシンプルなデザインのもののほかに、「ご当地マンホール」と呼ばれるデザインのものがあります。どのような経緯で全国各地に広まったのでしょうか。
ご当地マンホールが設置された理由とは
道路に設置されているマンホール。一般的には、鋳鉄製の地味な配色が多いですが、最近では「ご当地マンホール」と呼ばれる鮮やかな配色のものが全国各地に増えています。
ご当地マンホールとは、一体どんなもので、いつ頃から設置されるようになったのでしょうか。
ご当地マンホールとは、マンホールが設置されているご当地の名所やゆかりのある人物などをデザインしたもので、その地域でしか見ることができません。
最近では、ご当地マンホールを専門に紹介するサイトや本なども登場するほか、ご当地マンホールを巡る愛好家も増えてきました。
では、なぜ各地域にご当地マンホールが設置されるようになったのでしょうか。ご当地マンホールについて、日本水道新聞社は次のように話します。
―――ご当地マンホールはいつ頃から始まったのでしょうか。
デザインの始まりは、1977年に沖縄県那覇市の設置されたマンホールが初めてといわれています。1970年代半ば、当時の建設省下水道部の担当者より、下水道事業を市民にアピールするために、マンホール蓋にデザインを施して欲しいとマンホール蓋メーカーに要望があったのがきっかけです。
その後、全国的に各市町村で独自のオリジナルデザインマンホールが検討され、設置が開始されました。1986年12月には、日本下水道協会による「下水道マンホール蓋デザイン審査会」が開催され、全国1000点のなかから20点が選ばれました。
その後、各自治体などでマンホールデザインの採用が増え、各地の特色や自治体の花・木・鳥などが描かれたマンホール蓋が多く設置されるようになったのです。
―――地方自治体がご当地マンホールを設置する理由を教えてください。
各自治体では、地元のPRと下水道事業の広報のため、多くのカラーマンホールを作製するようになりました。マンホール蓋はほかの観光資源と違って、街中を散策しながら見ることができます。また、直径60cmの蓋に地域の魅力が凝縮されていることも、多くのファンを惹きつけています。
―――ご当地マンホールのデザインはどうやって決められるのでしょうか。
もっとも多いのは、自治体から花や木、鳥や各地の名産品などのテーマが提示され、マンホール蓋メーカーがデザイン案を作成し、その後、自治体のなかで選考がおこなわれ決定されるパターンです。
また、一般市民からのデザインの公募や、自治体がイラストレーターやデザイナーにデザインの作成を依頼して決定する場合もあります。
―――人気のあるご当地マンホールはどのようなものでしょうか。
やはりアニメキャラクターのマンホールが人気となっています。東京都内では多摩市でキティちゃん、葛飾区でモンチッチのご当地マンホールを見ることができます。
最近では、鹿児島県指宿市のポケットモンスターのキャラクター(イーブイ)や福岡県北九州市の銀河鉄道999のメーテルといったご当地マンホールも話題となりました。
そのほかには、スポーツ系(広島市の広島カープのカープ坊や、茨城県鹿嶋市の鹿島アントラーズ)や、名物系(広島県呉市の戦艦大和や兵庫県姫路市の姫路城)なども人気です。
また、2019年8月に神奈川県横浜市で開かれる「下水道展2019横浜」に合わせて作られた、ピカチュウのマンホール蓋も人気を集めています。
マンホールのデザインなんかに気取られてたら、事故おこすでえ。あおられるでえ。