クルマは見た目が大事!? デザインが優先されたクルマ5選

巨匠がデザインした軽1BOXバンがあった!?

●スズキ「キャリイ バン」

軽量ハイパワーなスーパーカーの王道を行くケーニグセグ「CCXR トレヴィータ」
軽量ハイパワーなスーパーカーの王道を行くケーニグセグ「CCXR トレヴィータ」

 スズキ「キャリイ」は現在トラックとして販売されていますが、かつては1BOXバンタイプもラインナップしていました。

 スズキは1969年に発売された4代目キャリイのデザインを、ライバル車との差別化をすべく前出のジウジアーロに依頼。ジョルジェット・ジウジアーロは当時、国産車では、いすゞ「117クーペ」や初代マツダ「ルーチェ」をデザインした実績があり、すでに世界的にも有名なデザイナーでした。

 キャリイバンはフロントウインドウとリアウインドウの傾斜角度がほぼ同じで、横から見ると前後が対称に見える斬新なデザインを採用していました。

 しかし、商用車であるバンの場合は、いかに荷室容量を稼ぐかが使命であり、このキャリイのデザインでは荷室を大きくできませんでした。

 わずか3年間販売された後、次世代の5代目ではオーソドックスなスタイルに戻されてしまっています。

●スバル「R1」

居住性を無視したいさぎよいデザインの「R1」
居住性を無視したいさぎよいデザインの「R1」

 スバルが自動車メーカーとして出発点だった「スバル360」という名車がありました。その後継車として1969年にスバル「R-2」が発売。それから30年ほどの歳月を経た2003年に、4ドアハッチバックタイプの軽自動車、「R2」が車名を踏襲する形で発売されました。

 その派生モデルとして、2ドアハッチバックの「R1」が2005年に発売されます。基本的な部分はR2と同じでしたが、R1は2+2のシートレイアウトとしており、リアシートの居住性を犠牲にして外観のデザインを優先したパーソナルクーペとなっていました。

 内装のデザインもR2に準じていましたが、ポップな色づかいであったり、シート素材に本革が用意されるなど、スペシャルティカーの要素が取り入れられていました。

 しかし、軽自動車市場ではトールワゴンや、スライドドアのハイトワゴンにニーズが集中したため、R1とR2ともども、フルモデルチェンジすることなく2010年に販売を終了。

 同時にスバルは軽乗用車の生産から撤退し、2012年には「サンバー」の生産を終了することで、軽自動車の生産を完全に終えることとなりました。

※ ※ ※

 今回紹介した5車種はどれも特殊なモデルではありません。むしろ、当時は普通に普段使いされていました。

 さまざまなニーズやリクエストに応えなければならない現代のクルマでは、ここまで冒険したデザインはできないでしょう。

 個性という点では、ちょっと寂しいところですが。

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