「マークX」に続きレクサス「GS」も!? トヨタから始まる「セダン・リストラ計画」はあるのか
販売面で苦戦中の「GS」が持つ独自の個性とは
ただしGSの売れ行きが下がっていることも事実です。最近は1か月の登録台数が100台前後で推移しているので、「IS」や「LS」と比べても少ない水準といえます。
レクサスの販売店にGSの売れ行きが下がった理由を聞いたところ、次のように説明します。
「ESが2018年に発売されて売れ行きを伸ばすと、GSを選ぶお客様が減りました。ESはハイブリッドのみですが、GSに比べると車内が広く、価格は、GSの2.5リッターハイブリッド仕様と比べて40万円から70万円ほど安いです。
ESは高級感があり後席も快適なので、レクサスのセダンではもっとも多く売れています。
また、ESは先代型LSからの乗り換えも多いです。現行型LSはボディを大型化したので(全長5235mm、全幅1900mm)、お客様の環境によっては車庫に収まりません。
そこで、そういったお客様がESに乗り換えています。ちなみに、いまのLSのお客様には、社用車として使われる法人ユーザーが目立ちます」
このような経緯を考えると、GSをラインナップから削る判断が成り立つかもしれません。スポーティなセダンが欲しいユーザーには、ミドルサイズで後輪駆動のISがあり、居住性や豪華さを重視するニーズには、ESで対応できるためです。
また2018年にはコンパクトSUVの「UX」も加わり、以前に比べるとレクサスの取り扱い車種が増えました。従って、GSがリストラされる可能性も高そうです。
ただし、レクサスは慎重に対応する必要があるでしょう。GSはレクサスが2005年に国内開業した時から用意されており、ブランドの中心的な存在であるからです。
GSが後輪駆動であることも見逃せません。いまは前輪駆動の操舵感覚も洗練され、ESでも不満はありませんが、後輪駆動の淀みのない滑らかさには、独特の上質感が伴います。
そもそも「前輪駆動でも後輪駆動でも走りに差はない」としたら、実用性よりも運転感覚にこだわるプレミアムブランドを選ぶ意味が薄れてしまいます。
また、トヨタ「RAV4」のように、一度廃止した後にGSを復活させるのは、愛用しているユーザーに失礼で共感も得られません。車種を廃止すると、そのユーザーは、乗り換えるクルマを失ってしまうからです。GSに限らず、車種の廃止には、相当な覚悟が必要でしょう。
とくにいまはセールスマンの話にもあったとおり、LSのボディが極端に拡大されて、一般のユーザーは選びにくくなりました。後輪駆動の上級セダンが欲しいときに、GSは大切な選択肢になっています。
GSをリストラするのか存続させるのか、レクサスは難しい選択を迫られています。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
本来ESは国内販売の予定すらなかった
あまりにも肥大しすぎたLSが故にLS離れを食い止める為に急遽投入した車
ESの先祖はカムリにV6エンジンを積んだプロミネントからウインダム、なんでこれがLSユーザーを引き留める車種になろうものか?
GSの走りは初代マジェスタから分家したアリスト、GSとESは駆動方式の異なる車種で回転半径を比較するのは少し無理がある
GSの回転半径5 .3もUCF30セルシオの5.2に比べれば平均値