トヨタのミニバンはなぜ多い? ノア・ヴォク3兄弟の末っ子「エスクァイア」の存在意義とは
トヨタはミニバンの種類がとくに多いですが、なかでもミドルサイズのミニバンは、「ノア」「ヴォクシー」「エスクァイア」と3モデルをラインナップしています。ノア・ヴォクシーの登場から10年後にデビューしたエスクァイアは、なぜ市場に投入されたのでしょうか。
トヨタはミニバンのランナップが多い!
ファミリー層に人気のミニバンは、各社から大小さまざまなモデルが販売されています。なかでもトヨタのミニバンのラインナップは、群を抜いて種類が多いです。
コンパクトサイズの「シエンタ」「ルーミー」「タンク」、ミドルサイズの「ノア」「ヴォクシー」「エスクァイア」、ラージサイズの「アルファード」「ヴェルファイア」「エスティマ」と、9車種を用意します。
とくに、ミドルサイズのミニバンは、日産「セレナ」やホンダ「ステップワゴン」とライバル他社も力を入れていて、競争が激化しているカテゴリーです。
2018年度の販売状況は、セレナが約10万台を販売してミニバンナンバーワンとなりましたが、トヨタの3モデルを合計すると18万7000台以上(ヴォクシー:8万9944台/ノア:5万6872台/エスクァイア:4万553台)。ミニバン1位は実質的にはトヨタであるといえます。
トヨタのミニバン3兄弟は、2001年にノアとヴォクシーが発売され、2011年にエスクァイアがデビューしました。ノアとヴォクシーが発売されてから10年が経過したタイミングで、なぜエスクァイアは市場に投入されたのでしょうか。
その理由としてあげられるのが、トヨタのチャネル制です。トヨタの販売店は、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツトヨタ店という4つのチャネルがあり、各チャネルで異なる車種を扱っています。
複数チャネルでの併売や、「プリウス」や「アクア」、「C-HR」など、全チャネルで取り扱う車種も増えていますが、特定のチャネルでしか扱っていない車種も存在します。
ノアはカローラ店で、ヴォクシーはネッツトヨタ店でそれぞれ販売され、好調な売り上げをみせる一方、トヨタ店ではエスティマ、トヨペット店ではアルファードを販売していましたが、売れ筋のミドルサイズのミニバンはありませんでした。
そこで、エスクァイアをトヨタ店とトヨペット店で販売することでラインナップを強化し、さらに多くのユーザーを取り込もうとしたのです。
都内のトヨタ車販売店のスタッフは、エスクァイアについて次のように話します。
「取り扱いを開始したころのエスクァイアは、30代から60代まで幅広い層にご購入いただきました。とくに30代から40代のファミリー層が全体の6割近くを占めています。ミニバンに上質感や高級感を求める方も多く、こだわりのあるものなら価格が多少高くても購入していただけるようです。
現在でも購入層に変化はなく、エスクァイアは30代から40代の子育てファミリーにも人気があります。ハイブリッド車もラインナップされており、落ち着いた上品なデザインということもあって、法人の営業車として導入されるケースも増えています」
ベストセラーカーがどんなに売れても、限界があります。正直、意匠を少し変え、車名を増やすほうが姉妹車を含めた総数は増えます。同じ車で販売店違いの場合、比較は価格だけで販売店には辛いです。価格が同じでも、意匠が違えば、売り方が変えることができます。