ランクル人気はなぜ続く? 日産や三菱が撤退した大型本格四駆でトヨタだけが生き残る理由
かつて各メーカーがラインナップしていた大型の本格四駆ですが、いまや絶滅危惧種となってしまいました。現在残っているのはトヨタ「ランドクルーザー」のみとなりますが、販売が好調です。なぜランクルだけが生き残っているのでしょうか。
本格ラージサイズ4WDモデルは絶滅危惧車種なのか
2019年8月をもって、三菱「パジェロ」の国内販売が終了します。パジェロといえば、パリダカールラリーで大活躍し、オフロードを駆け抜ける本格4WDとして高い人気を集めたモデルです。
今や世間の関心は環境&省燃費重視に傾き、パジェロのように巨大なオフローダーの人気は、すっかり下火になっています。
ライバルのひとつであった日産「サファリ」が姿を消したのは、すでに10年以上前。パジェロの退場によって、ラージサイズの国産本格4WDモデルで残っているのは、トヨタ「ランドクルーザー」だけとなってしまいました。
ラージサイズの本格4WDモデルは、絶滅危惧種として、この先は消え去る未来しかないのでしょうか。
ところが、ランドクルーザーだけは様子が異なります。2018年の日本自動車販売協会連合会の新車販売ランキングを見れば、ランドクルーザーは2万9416台の販売で登録車では31位。2万8751台のスバル「フォレスター」よりも多く売れていたのです。
ちなみに2017年は2万2576台で32位。2016年は2万3321台で30位。毎年、2万台以上が堅調に売れ続けています。
この販売の数字は、ランドクルーザー(200系)と「ランドクルーザープラド(150系)」の2種の合計ですが、それでも立派な数字といえるでしょう。
しかも、現行ランドクルーザーの登場は2007年、ランドクルーザープラドは2009年と、どちらも10年以上前に登場しているというのだから、さらに驚かされます。
どうやらランドクルーザーは、ほかの車種とは違っていまだに根強い人気を誇っており、消え去る雰囲気はみじんも見られません。
たぐいまれなるタフさと信頼感が、高いステイタスを築き上げた
ランドクルーザーの人気の理由は、はっきりとしています。それは「壊れない」ことに尽きます。クルマとしての特徴は「信頼性」「耐久性」「悪路走破性」が飛びぬけて高いことです。
現行のランドクルーザーの開発責任者であった小鑓貞嘉氏は過去のインタビューで、「“ランドクルーザーは地球上最後に残るクルマであると認識して開発に臨むべし!”。これが歴代の開発責任者に伝わるランドクルーザーの開発スローガンです」と語りました。
つまり、ほかのクルマが壊れても、最後の最後まで残るのがランドクルーザーだいうのです。もちろん、リアルに何が残るのかは誰も分かりませんが、それくらいの気持ちで作っているということ。
ちなみに、最近では、あまり耳にしませんでしたが、昭和末期から平成初期は、「トヨタのクルマは世界一壊れない」というイメージがありました。“日本車は壊れない”という世界的な印象の形成には、トヨタが大きく貢献したことは間違いありません。
そんなトヨタが、とくに「信頼性」「耐久性」に力入れて作ったのがランドクルーザーです。“壊れない“ということに関して、特別なものがあるといえるでしょう。
トヨタ広報はランドクルーザーについて次のようにいいます。
「トヨタの社員としても、やはりランドクルーザーは、どこに行っても大丈夫。必ず帰ってくることのできるクルマというイメージがあります。信頼性の高いクルマです」
三菱はパジェロを無くすべきではなかった