なぜ激減? 車のカンガルーバー カンガルー不在の日本で流行した人気装備が減少した理由
リトラクタブルヘッドライトも見られなくなった装備のひとつ
カンガルーバーと同様にいまは見られなくなったクルマの装備に、リトラクタブルヘッドライトがあります。
リトラクタブルヘッドライトとは、ライト消灯時はライト部分が格納されており、点灯することでライト部分が外部に展開される機能を持ったものです。
有名なところでは、漫画「頭文字D」で一躍大人気車種となったAE86型のトヨタ「スプリンタートレノ」や、初代ユーノス「ロードスター」に採用されていたことでも知られる存在でしょう。
リトラクタブルヘッドライトは消灯時には格納されるため、低いノーズをアピールする格好の材料としても採用されました。
日本で初めて採用されたのは1967年に登場したトヨタ「2000GT」です。
その後はスポーツカーを中心に採用されていましたが、80年代にはホンダ「アコード」やトヨタ「カローラIIリトラ」「ターセル」「コルサ」など、スポーツカー以外のクルマにも採用されるなど、一大ムーブメントとなったのです。
しかし、そもそも複雑な機構を持つリトラクタブルヘッドライトは、コストの面および重量の面のどちらでも不利で、そのうえ一部の諸外国では日中でもヘッドライトONが義務付けられる地域もあります。
そのため次第に数を減らし、日本国内では2002年に販売を終了したマツダ「RX-7」を最後に姿を消してしまいました。
また、リトラクタブルヘッドライトも前述のカンガルーバーと同じく、ライトONで飛び出たヘッドライトが歩行者保護の観点から好ましくないという問題もはらんでいます。
最新の技術と素材を使用すれば、歩行者に優しいリトラクタブルヘッドライトを作ることも不可能ではないといわれていますが、それにかかるコストを考えると現実的ではないというのも、リトラクタブルヘッドライトが復活しない要因のようです。
このように複雑な理由が重なって消えてしまったカンガルーバーとリトラクタブルヘッドライト。いまは日常的に見かけるクルマの「あの装備」も、何年か後にはまったく見ることがなくなる、ということがあるかもしれません。
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【了】
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
バーについては、まずは、90年中頃マスコミが叩きましたし(豪・欧・日)。当時、街中で乗る小型SUVは日本車だけでした。そして、NCAPが、事実上の規制になりました。それでも、初代フリーランダー(97)は、意匠と塗装で、バンパーでそれらしく見せて頑張っていました。