トヨタ「ランドクルーザー」の歴史はどう始まった?キング・オブ・オフローダーの系譜をひも解く

クルマ好きならば一度は聞いたことがあるクルマといえば、トヨタ ランドクルーザーを外すことはできないのではないでしょうか。今回は、誕生から60年以上の歴史を持つ国産最強SUVの歴史を紐解いていきます。

トップ・オブ・SUVといわれる トヨタ ランドクルーザー

 トヨタのフラッグシップSUVである「ランドクルーザー」は、日本のみならず世界中で人気のあるクルマです。そのランドクルーザーが生まれたのはなんと1954年。誕生してから60年以上という、国産車としては最も長い歴史を持つクルマでもあります。

トヨタ ランドクルーザー80系

 ランドクルーザー誕生のルーツは1950年にまで遡ります。もともとは、自衛隊の前身である警察予備隊と当時のアメリカ占領軍が、日本産の小型四輪駆動車を発注したことから始まります。

 その当時は三菱自動車、日産と共にトヨタも生産することに名乗りを上げました。そして、試作車として1951年に誕生したクルマが、ランドクルーザーの前身であるトヨタ「ジープBJ」です。

 残念ながらジープBJは警察予備隊の本採用を逃しましたが、官公庁や企業などの法人が販売を求めたため、トヨタはそのまま開発を継続しました。完成したジープBJは警察のパトロールカーとして採用され、1953年に晴れて量産が開始されました。

 当初は「トヨタ ジープBJ」という名前でしたが、商標権の問題で1954年にランドクルーザーに改名されました。LAND(大地を)CRUISER(進む者)という車名はその名の通り道なき道でも突き進めるクルマという意味が与えられています。

 初代ランドクルーザーの成功をうけ、法人だけでなく一般ユーザーへの販売も狙って開発されたのが、1955年に登場した2代目ランドクルーザーである20系です。明らかに軍用車の見た目をしていた初代から全面刷新され、乗用車らしく親しみやすい外観になりました。

 この20系こそが、のちに世界的大ヒット車種となる40系ランドクルーザーの前身です。1960年に登場したランドクルーザー40系は、24年にわたるロングセラー車となり、その後ランドクルーザー70系へ正常進化します。

 40系と70系のあいだには、55/56型という派生モデルも誕生しました。初代ランドクルーザーはあくまでも実用性重視のクルマでしたが、55/56型では高級車路線に舵が切られました。

 その後、海外市場を強く意識したデザインの60系が70系と併売され、60系の後継車として前後コイルスプリング&リジッドアクスルの80系が登場します。80系はランドクルーザーとしては初の高級SUVで、当時最先端となる数々の快適装備が採用されました。

 同時に、このランドクルーザー80系をベースとしたレクサス初のプレミアムSUV、「LX450」が北米で発売されています。その後はランドクルーザー初のV8エンジン搭載車、100系が1998年に登場し、2007年から発売されている200系へと進化してきました。

 このように、ランドクルーザーは長い年月をかけて進化をしています。モデル途中には、乗用車テイストをさらに強めた「プラド」や、プラットフォームを共用した派生車種「FJクルーザー」も登場しています。

 ランドクルーザーの進化の歴史を見ていくと、SUV車だけではなく、クルマ全体に求められる価値観や市場ニーズの変化も読み解くことができます。

 硬派、無骨、本格的と思われがちなランドクルーザーですが、実際はユーザーのニーズに合わせて柔軟に姿を変えてきたのです。そんなクルマだからこそ、60年以上ものあいだ長きにわたり愛され続け、今日までランドクルーザーのブランドを維持し続けることができたのではないでしょうか。

街中ではオーバースペックな性能こそがランクルの魅力

トヨタ ランドクルーザー200系

 ランドクルーザーは今でも本格SUVであることに間違いありませんが、昔では考えられないほどラグジュアリーなクルマに変わっています。車体が大きく、燃費も悪い。そして排気量が大きいために維持費も多くなりがちです。

 しかし、ランドクルーザーに乗っていれば普通のクルマでは走れないような悪路でも走行することができ、常に「心の余裕」をもったドライビングが可能です。

 通勤や買い物などで街中を走るだけならコンパクトカーや軽自動車でも充分ですが、ロングドライブで大人数が快適に移動でき、「まさか」のような道路状況に出くわしても大丈夫。

 この余裕こそがランドクルーザーシリーズ共通のキャラクターであり、最大の魅力といえます。世界には、ランドクルーザーしか通行が許されていない場所もあるくらいですから、信頼性の高さは世界一といって良いかもしれません。

 日本の市場ではライバルが居なくなってしまいましたが、ライバルといえる輸入SUVたちは次々とモノコックシャーシ(ボディとシャシーが一体となった構造)を採用しています。

 そんななか、ランドクルーザーが伝統的なラダーフレーム構造にこだわり続けるのは、ラダーフレーム構造であるからこその強靭さ・堅牢さを最も重要視している証です。

 ランドクルーザーは世界各地の過酷な環境で試され、愛されてきたクルマです。日本国内では少々オーバースペックであることは否めませんが、前述したように、そのポイントにこそ魅力があるのです。

 世界中で電動化が加速している昨今なので、ランドクルーザーのように大排気量のエンジンを積んだクルマはいつ販売を終了してもおかしくないといえます。

「クルマで遊ぶ」ことができる今のうちに、一度ランドクルーザーに乗ってみるのも良いかもしれません。
 
【了】

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2件のコメント

  1. 100系の写真200系ではないでしょうか?

    • ご指摘ありがとうございます。
      訂正いたしました。

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