なぜ古いまま販売? プリウス人気復活の陰に隠れる「プリウスα」が存在する理由とは
ハイブリッド車の代名詞といわれるトヨタ「プリウス」。2011年には、3列シート車を設定した「プリウスα」が登場します。しかし、ベースの「プリウス」が4代目へとフルモデルチェンジしても、システムは一新されず継続して販売が続いています。なぜ未だに販売されているのでしょうか。
プリウス人気復活に隠れるプリウスαの存在意義とは
クルマは、発売後も常に改良が続けられる商品です。一般的には、発売日から一定数経つと他車の新型モデルや自社の最新機能の登場によって、商品の魅力が失われていきます。
そのため、自動車メーカーは商品改良やマイナーチェンジなどをおこない、最新の技術・機能を搭載したモデルを定期的に発売し、商品の価値を維持し続けるのです。
しかし、トヨタ「プリウスα(アルファ)」は先代「プリウス」をベースにしたまま現在まで大きな改良が施されていません。なぜ、古い技術を搭載したプリウスαは未だに販売されているのでしょうか。
プリウスαは、2011年5月13日に発売されたモデルです。ベース車の3代目プリウスの特徴となる「圧倒的な燃費・環境性能」や「新技術がもたらす先進性」を継承し、さまざまなシーンで活躍できるゆとりの室内空間を備えた、ハイブリッド専用モデルとして登場します。
2列シート車(5名乗車)と3列シート車(7名乗車)の2タイプを設定し、3列シート車には、トヨタのハイブリッド量産車として初めてリチウムイオン電池を採用。世界各国では、「プリウスv(北米仕様・2列シート車)」や「プリウス+(欧州仕様・3列シート車)」という名称・仕様で販売されていました。
また、ボディサイズは、全長4615mm×全幅1775mm×全高1575mm(グレードや年式により異なる)と、3代目プリウスよりもひと回り大きく、多様化するライフスタイルに応えられるように考えられています。
当時の販売状況について、トヨタの販売店スタッフは、「プリウスαが登場したときは、販売台数で王者のプリウスにミニバンタイプが登場するとあって注目度がとても高かったのを覚えています。そのため、当初は3列シート車が売れると予想していましたが、結果的には2列シート車が販売の大半を占めていました」と話しています。
多人数乗車のニーズが高まっていたなかで、2列シート車が多く売れた理由として、両仕様の価格差が挙げられます。当時、2列シート車は約235万円からに対して、3列シート車は約300万円と大きな価格差がありました。
また、当時は今主流となっている背の高いスライドドアを備えたミニバンに人気が出始めていました。そのため、背の低いヒンジ式のワゴン風ミニバンは、他社のラインナップからも無くなりつつあり、トレンドから外れた存在といえます。
しかし、プリウスα自体はプリウスよりもサイズが大きく使い勝手が良いことから、日本市場では一定数の販売台数を維持し続けます。2015年には、ベース車のプリウスが4代目へと進化していますが、プリウスαは2017年の一部改良で衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」が全車標準装備された以降は、大きな改良はおこなわれていません。
それらの影響なのか2018年には、北米や韓国市場向け「プリウスV」の販売が終了するなど、徐々にプリウスαの人気に陰りが見え始めているのです。
現在のプリウスαについて、前出のトヨタ販売店スタッフは次のように話します。
「最近のプリウスαは、プリウスに隠れ大きく売れているモデルではありません。とくに、2018年12月にプリウスはデザインや先進安全機能を大幅に改善・向上していることもあり、余計に古い技術を搭載しているプリウスαの影は薄くなっています。
しかし、プリウスよりも荷室の使い勝手が良いという部分は今でも変わりませんので、レジャーや荷物を多く乗せるなどのニーズを持つユーザーには適しているモデルなため、無くすには勿体ないです。
あと、ラインナップしているモデルを無くすには意外といろいろな面でコストが掛かります。そうした意味でもプリウスαは残すべき存在といえます」
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