激化するSUV市場で目立てるか? 唯一無二の存在感放つ三菱アウトランダーPHEVの魅力とは
世界的に電動化の動きが進んでいる自動車業界。また、ここ数年はSUVモデルの人気が続いています。国産メーカーのSUVには、ハイブリッド仕様を設定したモデルを多く見かけますが、PHEV仕様は三菱「アウトランダーPHEV」だけです。唯一無二の存在といえる、「アウトランダーPHEV」とはどんなクルマなのでしょうか。
EV感覚を強調したアウトランダーPHEV
三菱の「アウトランダーPHEV」は、国産自動車メーカー唯一の「SUV + PHEV」のモデルです。近年のSUV人気で各社はさまざまなSUVモデルを投入していますが、それらに負けないアウトランダーPHEVの魅力はどんなところにあるのでしょうか。
アウトランダーPHEVは、2012年12月に登場。2018年8月には、デザイン変更、新エンジン搭載、PHEVシステムの主要構成部品の約9割を改良するなど大幅なアップデートをおこなっています。
最大の特徴は、一般的なハイブリッド車よりも大容量のバッテリーを積むことでモーターのみで距離が長く、またケーブルをつなげば外部から電気を充電できるようになっていることです。(充電せずにガソリンを給油するだけでも走行できます)
搭載バッテリーは13.8kWhとなり、ハイブリッド車の代表格でもあるトヨタ「プリウス(3.6kWh)」の約3.8倍も大きく、カタログ(WLTCと呼ばれる計測方法)を見るとモーターのみで最大で57.6kmを走行できると記載されています。
実際の走行では、基本的に低中速領域をモーターで走り、高速領域になるとエンジンパワーを直接駆動力として使って走行するシステムを備えています。
高速域にならなくてもバッテリーが減少したり、強い駆動力が必要な際はエンジンを始動して発電しますが、このような状況で始動したエンジン音は騒がしいのが従来の課題点でした。
エンジン始動音が目立つ理由としては、エンジンを停止した静かなEV走行状態から突然エンジンが始動するため、人の耳にとって不快に感じてしまうという理屈です。
さらに、PHEVでは発電量を確保する(効率よく発電する)ために、エンジン始動中の回転はある程度高めになることも影響しているといえます。
しかし、現行モデルでは対策の一環として、エンジン排気量アップが図られました。排気量を上げて発生するトルクを太くすることで、エンジン回転数を上げなくても必要なトルクを維持して発電量を確保することができます。エンジン回転数を下げるため、エンジン音を静かに目立たなくしました。
パワートレインの刷新は、「シリーズハイブリッドとしての走行中にエンジンの音を感じさせないようにして、よりEV感覚を強調した」というわけです。
日常領域の時速40kmから80kmの間では、エンジンが始動してもエンジン音を感じさせないといっても過言ではありませんでした。
アウトランダーPHEVのエンジン音について、EV・パワートレイン開発担当の阿部孝秀氏は次のように説明しています。
「オーナーからの声で評価されているのは『モーターによる走行感覚の気持ちよさ』です。しかし、その一方で『エンジンが始動するとその音で騒がしくなり、せっかくの静かさが失われてしまうのが残念』という声も多く聞かれました。
そこで、モーター走行領域を拡大するとともにエンジンが始動しても騒がしくないように配慮ています」
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