なぜこだわる?「水平対向」のスバルと「ロータリー」のマツダ、エンジン開発にかける思い
マツダは、現在のカーラインナップには搭載していない「ロータリーエンジン」の開発を継続しています。また、マツダと同じくエンジンにこだわりのあるスバルは「水平対向エンジン」の開発・生産で有名です。この2社がエンジンにこだわりを持っている理由はなんでしょうか。
小型軽量! 世界最高峰レースも制したロータリーエンジンのこれから
国内の自動車メーカーのなかでも、固有のファンを多く持つことで知られているマツダとスバル。この2メーカーに共通することとして、他メーカーがほとんど作らないエンジン「ロータリーエンジン」(マツダ)と、「水平対向エンジン」(スバル)を持つことが挙げられます。
マツダは、長年「ロータリーエンジン」という独自の機構を持つエンジンを研究・開発していることで知られています。
1967年には量産車として世界で初めてのロータリーエンジンを「コスモスポーツ」に搭載して以降、「ユーノスコスモ」や「サバンナRX-7」など、さまざまなクルマに搭載しました。ル・マン24時間レースを初めて制した日本車「787B」にも、レース仕様のロータリーエンジンが搭載されています。
ロータリーエンジンの特徴は、駆動力を生み出す機構の違いにあります。
一般的なエンジンがピストンの往復運動で回転力を生み出しているのに対して、ロータリーエンジンは「ローター」と呼ばれるおにぎり型の部品が「ハウリング」というひょうたん型の枠のなかを回転することで駆動します。一般的な直列エンジンに比べて小型でかつ軽量です。
ロータリーエンジンの搭載車種はスポーツカーに絞り込まれた時期を経て、2012年に「RX-8」が生産終了したことで販売を一旦終了しました。
しかし、マツダは現在もロータリーエンジンの研究を継続していて、2015年には次世代ロータリーエンジン「SKYACTIV-R」を搭載したコンセプトカー「RX-VISION」を公開しています。
マツダは現在販売されているモデルには搭載していないのに、なぜロータリーエンジンの研究を継続しているのでしょうか。マツダは次のように説明しています。
「小型・軽量でありながら高出力、かつ静粛性の高いロータリーエンジンのメリットは、電気自動車の分野においても最大限に発揮できると考えています。
2013年11月に発表した試作車『デミオEV』は、トランクスペース下にロータリーエンジンによる小型発電機(レンジエクステンダー)を搭載することで、400kmの航続距離を達成できる可能性を持っています。
新世代のロータリーエンジンは、優れた動力性能と環境性能を両立できる高いポテンシャルを持ったエンジンとして活用するため、開発をすすめています」
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マツダが一例として挙げている小型発電機を用いた試作車は、ロータリーエンジンを発電に用いて、その電気でモーターを駆動させるというシステムです。マツダはこのシステムを用いたクルマを2020年に発売する予定であるとしています。
ロータリーエンジンにこだわりを持ち続けている理由は、これから新たな方法で活用することを模索しているからなのです。
近い将来、新しく直列6気筒エンジンを投入する可能性があるマツダは、これまでの功労者であるロータリーエンジンも再投入したいという考えです。
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