無いと困る! 20年でGS半減? クルマに必要な交通インフラが減っていく理由とは

近年、ガソリンスタンドの数が減少しています。クルマの販売台数もピーク時よりは減少しているものの、それ以上のペースで無くなってしまっているのです。いったいなぜでしょうか。

環境性能の向上に伴い、苦境に立たされてしまったガソリンスタンド

「最近ガソリンスタンド(給油所)が減って不便だなあ」と感じている方も多いかもしれませんが、実際にガソリンスタンドは毎年減り続けています。多くのクルマユーザーにとって大問題だといえるこの現象。なぜ減ってしまったのでしょうか。

クルマユーザーの生活と密接な関わりをもつガソリンスタンド(※写真はイメージ)

 1990年代までは、クルマの普及とともに増加傾向でピークだったガソリンスタンドは、1995年に全国で6万か所を超えました。新車の販売台数のピークは1990年の778万台ですから、クルマの売れ行きと給油所の数は相互に関連しながら増加したといえます。

 その後は減少に転じて、2017年のガソリンスタンド数は3万か所を若干上まわる程度です。1995年の6万か所に比べると、約半分にまで減りました。

 ちなみに2018年の新車販売台数は527万台。ピーク時の68%ですから、ガソリンスタンドの数はクルマの販売減少を上まわるペースで減っています。「少なくなった」と感じるのも当然です。

 なぜガソリンスタンドが減ったのでしょうか。都内にあるガソリンスタンドの店長は、減少した理由を次のように話します。

「一番の理由は、ガソリンや軽油の売れ行きが下がったことです。最近のクルマは、昔に比べると燃費性能が向上しました。昔は実燃費が1リッターあたり10キロを下まわる車種も多かったですが、今は大半のクルマが10キロ以上走ります。

 しかも売れ筋のクルマが燃費の優れたハイブリッド車や軽自動車、コンパクトカーなどですから、燃料の消費量はいっそう下がりました。クルマの保有台数も減少傾向であることから、お客様が大幅に減っています」

 売上が下がり始めてから、少ない店員数でも運営できるセルフ方式を取り入れたガソリンスタンドが増えました。セルフ方式のガソリンスタンドは、1998年頃は全国で100か所以下でしたが、2017年には約1万か所に達します。今は30%以上がセルフになりました。

 先ほどのガソリンスタンド店長は「売れ行きが下がっても経営するには、人件費を抑えるしかありません。経営環境が悪化するほど、セルフ方式が増えるわけです。

 近年は、ガソリン価格ランキングを掲載しているウェブサイトもあります。競争があおられて激化しており、売り上げを維持するには、店舗コストと燃料単価を下げるしかありません」とも話しています。

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