庶民の足から最新スポーツカーまで勢ぞろい 3輪自動車5選

日本ではかつて多くの3輪自動車が走っていました。しかし時代とともに淘汰され、いまではほとんど見ることはありません。そこで、これまでに販売された国内外の3輪自動車のなかから、5車種をピックアップして紹介します。

海外でも日本でも愛された3輪自動車5選

 いまではまず見かける機会がないクルマのひとつに、3輪自動車があります。

いまも新車で買える3輪自動車モーガン「スリーホイラー」

 日本で3輪自動車というとダイハツ「ミゼット」が真っ先に浮かびますが、海外でも一時期は3輪自動車が数多く作られていました。

 4輪自動車に比べて低い操縦安定性や、少ない積載性能と乗車定員などさまざまな問題があって、現在はほとんどのメーカーが3輪自動車の製造から撤退しています。

 そこで、これまでに販売された国内外の3輪自動車のなかから、ユニークなモデル5車種をピックアップして紹介します。

●リライアント「リアルト」

デザインは現代的でスタイリッシュなリライアント「リアルト」

 イギリスで制作されたテレビドラマ「Mr.ビーン」に登場するクルマというと、ビーンの乗る「ミニ」が有名ですが、そのビーンに目の敵のように扱われる3輪自動車が、かつてイギリスにあった「リライアント」というメーカーの「ロビン」です。

 ロビンは1973年に発売され、1982年に後継の「リアルト」となり1997年まで生産。イギリスでは3輪自動車が税金や免許制度で優遇されていたため、複数のメーカーが3輪自動車を製造して庶民の足として愛されました。

 リアルトは40馬力を発揮する850ccの直列4気筒エンジンをフロントに搭載し、リアを駆動するFR車で、ボディはFRPでできており、車重は400kg台と軽量でしたので非力ながらもキビキビと走ったといいます。

 しかし、このリアルトのような前1輪はカーブで横転しやすく(乗り方にもよる)、高速走行には向きませんでした。実際に「Mr.ビーン」でも何度も横転するシーンがあります。

 そして、免許制度の優遇がなくなった2001年に(現在は優遇制度が復活しています)リライアントは3輪自動車製造を終了しますが、いまもイギリスには愛好家が多く、オーナーズクラブもあるくらいです。

●メッサーシュミット「KRシリーズ」

飛行機をイメージさせるキャビンが特徴のメッサーシュミット「KRシリーズ」

 飛行機好きにとって「メッサーシュミット」は、第二次大戦中のドイツ空軍の主力戦闘機や爆撃機を製造していたメーカーとして知られていますが、戦後は自動車製造も行なっていました。

 戦後に航空機製造が許可されなかったメッサーシュミットは、1953年に「KR175」という174cc2サイクルエンジンを搭載した3輪の超小型車を発売。車体のカテゴリーとしては「キャビン付きスクーター」に属します。

 前が2輪の車体は、まるで航空機のキャノピーのような形状の屋根を持ち、室内は前後に2人乗るシート配置となっており、ハンドルも航空機の操縦桿のような形状でした。

 1955年には排気量を191ccにアップした「KR200」にモデルチェンジし、後に屋根を幌にしたオープンモデルも追加されます。

 しかし、1960年代にヨーロッパ各国が好景気になると普通の乗用車が売れ、KRシリーズの販売は低迷。1964年に製造を終了します。

 以降、メッサーシュミットは自動車製造からも撤退し、合併と買収を経て、現在はエアバス社傘下の会社として航空機産業に携わっています。

●ダイハツ「ビー」

前衛的なデザインで早すぎた感もあるダイハツ「ビー」

 ダイハツは長い歴史のあるメーカーで、1907年(明治40年)に「発動機製造株式会社」として大阪で創業しました。

 いまでいう産業用、農業用の汎用エンジンを製造し、2輪車の製造を経て3輪トラックの製造を行ないます。戦後は軽3輪トラック「ミゼット」が大ヒットしたのは周知の事実です。

 そのミゼット誕生以前の1951年に発売された「Bee(ビー)」という3輪乗用車を作っていたのは、あまり知られていません。

 ビーは804ccの空冷水平対向2気筒エンジンをリアに搭載し、ボディタイプは4人乗車の2ドアセダンでした。特徴的なフロントのデザインは当時としても斬新で、曲面を多用した流麗な形となっています。

 先進的なクルマに見えますが販売的には全く振るわず、わずか1年で生産を終了し、正真正銘の幻のクルマとなってしまいました。

とても珍しくてユニークな3輪自動車を画像でチェック(12枚)

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