発売目前のトヨタ「スープラ」は規格外? 17年ぶり復活でトヨタ車基準から外れた理由とは
17年ぶりに復活を果たすトヨタの新型「スープラ」。多くの注目を集めているなかで、開発背景に関するいくつかの謎が存在します。あらゆる面で、従来のトヨタ車基準から外れた理由とはなんなのでしょうか。
謎多き新型「スープラ」はトヨタの規格外モデルだった
2019年のクルマ業界において、多くの注目を集めている車種はトヨタの新型「スープラ」です。17年ぶりに復活して同年5月中にも日本仕様が正式発表される見込みですが、いろいろと謎が多いクルマでもあります。
トヨタ渾身のピュアスポーツカー「スープラ」は、どのような経緯で誕生したのでしょうか。
新型「スープラ」は、日本においては3世代目、日本では「セリカXX(ダブルエックス)」として販売していた時代(北米向けは当初から「スープラ」だった)までカウントすると5世代目のモデルです。
今回は、トヨタ単独ではなくBMWと共同で開発され、エンジンやシャシーなどのメカニズムはBMW「Z4」と共用されているのが新型「スープラ」の特徴のひとつ。
生産は、オーストリアの自動車製造会社であるマグナ・シュタイヤー社が担当して日本へは輸入車として導入されることになっていて、正規の日本仕様でもウインカーレバーは左側に備わります。
新型「スープラ」は、トヨタのスポーツブランド「GR」初となるモデルでもあり、他の新型モデルとはいろいろと異なる点があるのです。
自動車メーカー各社は新型車の開発にあたり、さまざまな独自の規定を設けています。もちろんトヨタにも厳格なルールが存在します。
しかし、従来のトヨタ車とは異なる育ちの新型「スープラ」については、「トヨタ基準から外れている部分もある」といい、開発責任者を務める多田哲也氏は次のように説明しています。
――トヨタ基準から外れた新型「スープラ」の開発について
今回の「スープラ」は、ターンインからコーナリング中、立ち上がりまで、とにかく“ニュートラル”を目指して、開発も一貫してやっています。
ボディ剛性に関しては、乗降性などトヨタには厳格なルールが存在するため、通常の市販車開発では外形サイズに対して室内空間を大きく取ろうとして、曲がりくねった複雑な骨格構成となります。しかし、「スープラ」はシンプルな構造で剛性が一番高くなるように、そのような条件をすべて無視して作っています。
重心高についても、「スープラ」は最低地上高もぎりぎりまで削っています。トヨタ車の平均は140mmくらいですが、世界のスポーツカーを見ると100mmくらいが普通になっていることもあり、今回はコンビニに行っても困らないくらいには下がっています。
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新型「スープラ」は、発売前の公道テストでは走行面だけでなく日本のリアルワールドでコンビニやファミレスなどの段差や輪留めも積極的にあちこちの場所で確認しているようです。
また、昨今「走りを楽しむのはMT」というのはスポーツカーにおいても過去のものとなっています。世界的にも日産「GT-R」のように2ペダルトランスミッションしか備えないスポーツカーが増えているなか、新型「スープラ」にMTが用意されないのも時代の流れといえます。
しかし、なぜ新型「スープラ」は、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)ではなくATを組み合わせるのでしょうか。本格スポーツモデルは、ATではなくより高効率で変速も鋭いDCTというのが一般的な認識です。
前出の多田氏は、「ここ数年でATも急速に進化し、今どきのATは変速も鋭く、伝達効率も高い。DCTに引けを取らないほどです。そしてなにより、ATはDCTよりも軽い。だからATを選びました。トヨタのスポーツATの技術も入り、鋭い変速を実現しています」といいます。
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