デリカミニの実力はいかに 新型「eKクロス」はライバルより優れている?

乗り心地と推奨グレード

 乗り心地は少し硬めですが、バタバタした粗さは抑えているようです。14インチタイヤ装着車は、路上のデコボコを上手に吸収しますが、15インチタイヤは、細かな上下方向の振動を伝えやすくなっています。

 段差を乗り越えた時の突き上げ感は、14/15インチともに小さいですが、細かな振動の吸収性は14インチが勝ります。その代わりに15インチタイヤは、操舵感が少し機敏で、一長一短といえるでしょう。

「eKワゴン」(左)と「eKクロス」(右)

 最小回転半径は14インチが4.5m、15インチは4.8mと大回りです。乗り心地の違いも考えると、タイヤサイズは14インチで十分だと思いますが、「eKクロス」の14インチを履くMグレードにはアルミホイールが用意されません。スチールホイールのみとなり、車間距離を自動制御できるアダプティブクルーズコントロールなどのオプション設定も、Mグレードは対象外でGグレードとTグレードに限られます。

 今後は、Mグレードに14インチのアルミホイールやアダプティブクルーズコントロールをオプション設定するか、あるいは中級のGグレードに標準装着される15インチアルミホイールを14インチに下げて、オプションで15インチに変更できると良いでしょう。

 なお、日産「デイズハイウェイスター」のXグレードには、14インチアルミホイールが標準装着され、15インチはオプションとなっています。

 それでも現状で買い得なのは、15インチアルミホイールを備えた「eKクロス Gグレード(155万5200円)」です。このグレードに、アダプティブクルーズコントロールなどを含んだ先進快適パッケージ(7万0200円)、前述のプレミアムインテリアパッケージ(5万4000円)をオプション装着するのが良いでしょう。

 新型「eKクロス」は、後席の座り心地とシートアレンジがいま一歩ですが、前席の居住性、内装の質、動力性能、安定性、安全装備、運転支援機能などは、ライバル車と比べても優れた部類に入ります。選ぶ価値の高い軽自動車となりました。

 
【了】

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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