ガソリン・ディーゼル・ロータリー 内燃機関のエンジンにはどんな種類がある?

今から約150年前、人類初のエンジン(内燃機関)が登場しました。登場以降さまざまな技術者によって進化を続けてきたエンジンは、今でもクルマの動力の主役であり続けています。歴史とともに進化してきたエンジンですが、今主に使われている4種類をおさらいしてみましょう。

世界初の内燃機関登場から約150年

 1769年に世界初の自動車が産声を上げてから、約250年の時が経ちました。世界初の自動車といわれている「キュニョーの砲車」の動力は、蒸気の圧力を利用して車軸を駆動させるタイプの蒸気機関でした。

 そこから約100年後の1870年、世界初のガソリンを使った内燃機関搭載車、「第一マルクスカー」が登場します。第一マルクスカーは現在広く使われているレシプロエンジンの原型ともいえる内燃機関で、登場から約150年の時が過ぎた今でも基本構造はほぼ変わっていません。

マツダ RX-8 Spirit-R

 約150年のあいだ、エンジンは様々な変化をしながら種類を増やしてきました。現在一般的に使われているエンジンは、燃料にガソリンを使い、スパークプラグによる点火でピストンを往復運動させる「ガソリンエンジン」、燃料を軽油とし、圧縮着火の爆発によってピストンを動かす「ディーゼルエンジン」、ひょうたん型のハウジング内を三角のローターが回転して動力を生み出す「ロータリーエンジン」、そして、これらの内燃機関に電気モーターを組み合わせた「ハイブリットシステム」の4種類に分けられます。

ガソリンエンジン(レシプロ)

 ガソリンエンジンは、現在クルマに最も多く使われているエンジンです。インテークのバルブから吸入した空気と霧状の燃料が混ざった混合気をシリンダーに取り入れ、ピストンにより圧縮し、スパークプラグによって着火してピストンを押し戻します。

 混合気の爆発により強力に押し戻されたピストンは、コネクティングロッド(コンロッド)を介してクランクシャフトに伝わり、ここで初めて回転運動に変換されます。

 シリンダーの配置は直列型・V型・W型・水平対向型などさまざまなタイプが開発されており、それぞれに異なる特性を持っています。吸入・圧縮・爆発・排気の4行程で一連の動作となるため、4サイクルエンジンと呼称されることもあります。

 最近では、従来のガソリンエンジンを火花点火制御圧縮着火によって駆動させる次世代ガソリンエンジン「スカイアクティブX」をマツダが発表して話題となりました。

ディーゼルエンジン(レシプロ)

 ディーゼルエンジンの基本構造はガソリンエンジンと一緒ですが、吸入・圧縮・爆発・排気のうち爆発の方法が異なります。ディーゼルエンジンでは、ピストンによってシリンダー内で圧縮された空気と軽油の混合気を、圧縮による高熱下のもとで起こる自然着火によって爆発させています(軽油はガソリンよりも引火点が高いため、自然着火による制御が可能)。

 ガソリンエンジンよりも高い圧縮比を実現できることや、自然着火による均等な炎の広がりにより、ガソリンの混合気よりも気薄な燃料でも爆発させることができ、燃費に優れるとされています。ガソリンエンジンよりも低速トルクが出る出力特性なので、高回転を多用する必要のない大型SUVなどと相性が良いエンジンです。

 クルマにも広く使われているほか、大型の船舶や列車、重機など重量のあるものはディーゼルエンジンがほぼ主役です。一時期は排出されるガスが大気を汚染するといわれて影を潜めた時期がありましたが、アドブルー(尿素水)を利用した排出ガス浄化システム等の技術革新が行われ、かつての「ディーゼルエンジン=排出ガスが汚い」というイメージは過去のものとなりつつあります。

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