なんでも課税対象なクルマ業界 ガソリンと軽油で消費税が異なる理由とは
ガソリン税(揮発油税)は本来の目的を果たした?
ガソリン税に対する「二重課税」は、もうひとつの問題も抱えています。元々、ガソリン税(揮発油税)、軽油引取税、石油ガス税などは、道路特定財源として道路整備を目的に創設された税制度です。
クルマが世の中に浸透し始めた昭和40年代、道路事情の改善が急務となります。その際、道路特定財源という道路整備だけに使う財源を確保しなければなりませんでした。そのための財源がガソリン税(揮発油税)です。
その後、2009年(平成21年)に道路特定財源は、使途を限定せず使えるように一般財源化。本来の目的を失ったにもかかわらず、ガソリン税(揮発油税)は一般財源として残っているのです。
前出の「ガソリン税(暫定税率)25.1円」は、緊急の道路整備に使う目的で、本来の税率に暫定的に上乗せされていた税率(旧暫定税率)となります。
すでに道路特定財源制度は無くなったにもかかわらず、上乗せされた税率は『当分の間』として維持されたまま30年以上続いているのです。
石油元売り会社で構成される石油連盟は、ガソリン税について次のように話します。
「以前から関係各所を交えて『二重課税』問題を政府に対して意見を唱えています。2009年(平成21年)には、道路特定財源から一般財源化となりました。そのため、本来の道路を整備する費用という『大義名分』が無くなったのです。しかし、『当分の間』という魔法の言葉のために、いまなお暫定税率が残っています。
それであれば、道路整備を急ぐために創設された暫定税率も、廃止されるのが当たり前です。暫定税率は、受益者負担の原則のもと、ユーザーが負担してきましたが、道路整備に使用しないのであれば、受益者負担の原則が成り立たないのです」
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昔は、クルマの所有自体が贅沢品でした。しかし、現在ではクルマが生活や仕事の必需品といえるほど普及しています。こうした時代背景に追いついていない法整備の改革をしない限り、日本の自動車産業に明るい未来は無いのかも知れません。
【了】