ウン千万円でも日本はスーパーカーが激売れ!? ランボルギーニ 新型「ウラカンEVO」の狙いとは
最も力を入れたダイナミクス性能
そして3つ目は車両のダイナミクスだとして、「これは今回の取り組みで最も重要な点です」とミラーノ氏はいいます。
まずは現在のウラカンに採用している、四輪駆動やダイナミックステアリング、トラクションコントロール、マグネットライトサスペンション、ランボルギーニプレタフォルタマニアレ(ボディコントロールシステム)はそのまま継続採用(一部改良)されました。
そこに加え、大きく3つの革新的なシステムが加えられました。ひとつは「アクティブトルクベクタリングです。これは、全てのホイールのトルクをマネジメントするもの。次に四輪操舵を採用しました。つまり後輪も操舵するのです。このようなセグメントでこの四輪操舵を提供しているのはこのモデルだけでしょう」とミラーノ氏。
そして、LDVI(ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ)というシステムが採用されました。ダイナミックヴィークルマネージメントシステムと捉えられるものです。「クルマのあらゆるハンドリング・ダイナミックに関するシステムの全てを統合するコントロールユニットです。簡単にいうと、ダイナミック関連のシステムを全て管理する、オーケストラの指揮者のようなものです。それぞれの楽器が最高の結果を出せるように全体を統括するのがこのシステムといっていいでしょう」と説明します。
その大きな特徴は、「今のシステムのほとんどはフィードバックロジックですから、何かが起こるとシステムがそれに対してリアクション、対応します。しかし、LDVIはフィードバックではなくフィードフォワードロジックを採用していることがポイントです」といいます。つまり「学習することによってドライバーにとって最適なものはどんなものなのかをその都度判断するというものなのです」とミラーノ氏。
たとえば理想的なライン取りをサーキットで走ろうという場合、「今までのシステムではフィードバックロジックですから、若干タイムラグによってラインからの逸脱を発生させてしまうことがあります。一方、フィードフォワードロジックはそうではなく、事前に何が起こるかを予測しますので、ドライバーがどういうことを意図しているのかを予測し、最高のレスポンスを提供するのです」
そのロジックは、「様々なインプット、信号を読み取り、ドライバーの意図を分析、処理するのです。例えばドライバーがステアリングをどれだけ速く切っているのか、またギアボックス、スロットル、選んでいるドライブモードといったドライバーの意図を察知。クルマ側のサスペンションのインプット、ヨー角、どういった挙動がどのように示されているのか、そういったものを読み取った上でコントロールユニットが分析、フィードフォワードロジックで予測をし、ドライバーが望んでいるようなレスポンスを提供します。つまりクルマがドライバーの意図を予測、四輪駆動、四輪操舵、トラクションコントロール、トルクベクタリングなどを駆使して最適な環境を提供するのです。その結果、ドライバーは常に乗って楽しく自信を持って運転できる、安心して安全に乗ってもらえるのです」と説明しました。
ここで気になるのは、どこまでどのように予測ができるのかです。そこでミラーノ氏に、ドライバーがドリフト走行をしている状況と、スピンモードに陥っている状況をどのように区別するのかと質問をぶつけてみました。ミラーノ氏は、「ドリフトをしたい場合にはステアリングやアクセル操作が必要ですので、例えばカウンターをどうあてているのか、またその時にアクセル操作はどうなっているのかを検知して、その予測をもとに、ドリフトを楽しんでいると判断すれば、クルマ側がドリフトをサポートします。そうすると簡単にドリフトできます。一方、ドリフトしたくないということが分かれば、トラクションをフロント側により配分して、安全に運転できるようになります」と回答してくれました。