なぜ着用? 後席3点式ベルトが存在しない時代背景の「ちびまる子」 アニメでも必ずシートベルト着用の理由とは
シートベルト着用を始め、コンプライアンスが最も厳しいのはNHK
シートベルトの着用に関しては2008年に後席ベルトが義務化されて以来、テレビや映画、アニメの世界に至るまで、どのテレビ局の番組でもコンプライアンスの徹底が良くわかります。
芸人さんやタレントさん以外、一般人が車に乗るシーンでも同様です。中でも徹底しているのがNHKのようです。
NHKや民放の様々な番組を手掛ける制作会社に聞いてみたところ、「近年は各局とも法令遵守が徹底していますね。シートベルトやチャイルドシートなどを正しく使用することについては番組制作の打ち合わせの段階から必ず話が出ます。
再度、ロケが始まる際にも同様のことを言われますし、我々制作側も想像できる範囲で確認の意味を込めてプロデューサーにその都度、尋ねるようにしています。とくに厳しいのはNHKですね。NHKではヘッドレストを外すことも禁じられています」(東京都内のテレビ番組制作会社)
あまり知られていませんが、ヘッドレストを外しての走行は「道路運送車両の保安基準第22条4」に抵触し、道路運送車両法違反になりますからこれに関しても徹底しています。
乳幼児に人気の「しまじろう」はいつからベルトをしていた?
筆者(加藤久美子)の息子(2000年生まれ)が1歳の頃、こどもちゃれんじ(ベネッセ・コーポレーションが展開する幼児通信教材)を毎月購入していました。
その教材にはしまじろうをモチーフにした知育玩具がついてくるのですが、ある時、しまじろう一家+車のソフトトイ(しまカー)が届きました。開けてびっくり。運転席の両親はもちろん、後部座席のしまじろう(&妹のはなちゃん)もしっかりとベルトをしていました。
こどもちゃれんじでは、いつから後席でのベルトを装着していたのでしょうか?車に乗る幼児の安全についての考え方を担当スタッフに伺いました。
「おそらく最初から、教材で乗車するシーンを扱うときはシートベルトを着用していたのではないかと思います。乗車シーンでは絵本でも映像でもチャイルドシートに座りシートベルトを着用するようにしています。
こどもちゃれんじにとって「幼児の安全」は重要なテーマの一つです。信号の渡り方、駐車場内の歩き方などの交通ルールについても取り上げていますが、ただやみくもに「○○してはダメ」と子どもたちに強制するのではなく、子ども自身が自発的に安全な行動をとるような促しをしています。
『しまじろうの様子を見て、自分もまねをする』というお子さまもたくさんいらっしゃいますので、教材の中でしまじろうが車に乗るときは、必ずチャイルドシートに座ってシートベルトを着用するようにしています」(ベネッセ・コーポレーション広報IR部)
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後席ベルトやチャイルドシートの着用率はなかなか上がりませんが、好きなキャラクターが後席ベルトを正しく使う姿を見ることで、子ども自身が真似をしながら、その必要性を自分で感じて着用すると着用率も上がっていきそうですね。
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Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。