雪国で評価の高い自動車メーカー 安心と安全を追求したスバル車の実力とは

ガソリン車とハイブリッド車の雪国性能

 肘折温泉は、取材日も大雪で、数十センチも降雪。除雪が間に合わず雪深い道路もありましたが、そんな環境でも不安なく走れたことが、「フォレスター」や「XV」のリアルワールドでの実力の高さを端的に物語っていました。

 今回の新たな発見は、モーターを組みわせたハイブリッドモデルである「e-BOXER」のメリットが雪道でも確認できます。

「e-BOXER」は雪国向き?

 移動中に、同乗していたスタッフがドライバーの運転に対して『滑りやすい路面の発進時などで標準車よりe-BOXERのほうがハンドルの修正が少なく、挙動がスムーズ』と気が付いたのです。

 運転していた筆者(工藤貴宏)は、ハンドルの修正を無意識におこなっていたので言われてからはじめて気が付いたのですが、確かに操作が穏やかでした。

 SUBARUの開発者に確認したところ『モーターのほうがアクセル操作に正確に反応するので、発進などでアクセルの踏み過ぎなどが軽減されて運転がスムーズになる』とのこと。「e-BOXER」は滑りやすい路面でもメリットがあるというわけです。

 また、雪道において「XV」よりも「フォレスター」は運転の疲れが少ないことも、今回のロングドライブで実感。それは、単に最低地上高の違い(雪道ではそれも大きいのですが)だけではなく、『クルマの味付けも違うから』と開発者はいいます。

『(フォレスターに比べると)キビキビ感を盛り込んだXVに比べると、フォレスターはアクセルに対する反応もハンドル操作に対する反応も穏やかだから滑りやすい路面ではより神経を使わなくて済む(開発者)』と教えてくれました。

 もちろん、「XV」でも雪道の運転疲れは少なく、「フォレスター」でも舗装路ではしっかりとキビキビ感があり、あくまで『最後の味付け』レベルの些細な違いですが、乗り比べると確かに違いを感じるのです。

 ちなみに、肘掛け温泉の近くには「月山(がっさん)」という場所があります。ここは、47年前(1972年)に、富士重工業(SUBARUの前身)が東北電力の求めに応じて試作した同社初のAWD車(レオーネバン)のテストをおこなった場所。

 その後、月山での雪上テストは90年代までおこなわれていました。スバルのAWDにとって聖地ともいえる地域での雪上ロングドライブは、雪国におけるSUBARU車への信頼を再認識するものでした。
 
【了】

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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