SUVはブームじゃない? ホンダ「ヴェゼル」で見えてきた市場ニーズの変化とは
ホンダの人気コンパクトSUV「ヴェゼル」にターボ仕様が追加されました。なぜ、このタイミングでターボ仕様は発売されたのでしょうか。
「ヴェゼル」新モデルにみるSUV市場
ホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」は、2013年12月の登場からまたたく間に国内SUV市場を代表するモデルとなりました。2015年、2016年、2018年と過去に3回のモデルチェンジを実施し、2018年12月時点で累計36.7万台を発売しています。
今回、2019年2月には、1.5リッターエンジンのターボ仕様となる「TOURING・Honda SENSING」モデルが新たに加わりました。
近年、国内外の自動車メーカーで『SUVラインナップの拡充』が加熱しています。高級ブランドでも、ランボルギーニ「ウルス」やベントレー「ベンテイガ」などのSUVモデルも登場しています。
そのなかで、各社のSUV開発に共通しているのは、『SUVに対する走行性能の向上』です。過去にあった「RVブーム」では、悪路などの走破性の高さがひとつのポイントでした。
しかし、ここ数年続く「SUVブーム」では、『安全性能・走行性能・基本性能』という要素が市場ニーズで高まっているといいます。前出のホンダ「ヴェゼル」は、「外観スタイル・デザインの良さ」「燃費の良さ」「室内の居住性」などが購入者から好評です。
その基本パッケージに、『SUVに対する走行性能の向上』を加えたのが今回の「TOURING」とのこと。従来のモデルには、ターボ無しの1.5リッターガソリンエンジン仕様とハイブリッド仕様の2種類が設定されていました。
ここに1.5リッターターボモデルを追加し、「走行性能」を向上させたことで、多様化するニーズに対応するのが狙いといいます。移り変わるSUV市場へのニーズについて、ホンダ「ヴェゼル」の開発者は次のように説明します。
――このタイミングで、ターボ仕様の「TOURING」を投入した理由を教えてください
ヴェゼルは、発売してから5年ほど経ち、モデル末期といえる時期でした。さらに、販売を維持するのと今までできなかったことを底上げするということで、『上質とスポーツ』というポイントから新たなエンジンを追加することになりました。また、上質という面でも静粛性の向上や内装の質感アップを行っています。
――SUV市場の変化にどうとらえていますか
今回の「TOURING」を投入した理由にも繋がりますが、今までのSUVに対するデザインや目新しさ意外に、『運転の楽しさ』を求めるユーザーが増えています。
市場全体を見ても、SUVに新しく入ってきたお客様は、安定した乗り心地が特徴のセダンや多人数乗車や積載性をウリにしているミニバンなど、他のニーズを持っていたユーザーがいるため、あらゆる要望があります。
このSUV市場は、2014年を境に変化したと考えています。それまでは、過去の「RVブーム」の延長という感じでした。
また、「SUVブーム」といえる時期は終わったと思います。いまは、ブームではなく自動車業界における定説といえ、一過性ではなくなったと実感しています。
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変わりゆくニーズのなかで、「SUV市場」の盛り上がりが続く背景には、ほかのボディタイプに対する要素を「SUV」に求めた結果もあるようです。
実際に各社のSUVラインナップには、「セダンのように走りがよいSUV」「ミニバンのように多人数乗車が可能なSUV」「コンパクトカーのように取り回しがよいSUV」など、同じSUVでもさまざまな特徴を持っています。