快進撃止まらないスズキ「ジムニー」 都市伝説化した5ドアモデルの発売近し?

ジムニー5ドア化の実現も近い?

 そんなピックアップトラックになぜ注目したかというと、それはスズキが造ったからです。コンセプトカーは、いわゆるショーの客寄せとして造られることもあるのですが、大抵の場合は未来に発売されるクルマのスタディモデルという意味合いがあります。

東京オートサロンで話題となった『ジムニーシエラ・ピップアップスタイル』

 しかし、このジムニーシエラ・ピップアップスタイルは、全長をシエラよりも30cm延長しています。通常、ピックアップトラックは耐荷重を考えるため、フレームを延長していますが、このモデルはシエラのラダーフレームを流用しているため、荷台は“宙ぶらりん”の状態。実用性はなく見た目だけということです。

 見た目だけのショーモデルですが、深読みすれば、シエラはさらにボディバリエーションを増やしていくという、メーカーのメッセージだとも受け取れます。このことを、会場にいたスズキのスタッフに投げかけてみました。

「ジムニーは、遊びのクルマですから、さまざまな可能性を示したいという点で、このようなコンセプトカーを造らせていただきました。かつてのジムニーにはピックアップトラックが存在していましたし、オープンモデルもありました。今後、皆様からご要望がどんどん高まれば、弊社としては前向きに開発を検討していくと思います」

 ジムニーファンとしては、非常に希望が持てる前向きな回答です。さまざまなボディバリエーションを考えているという話は、新型が登場したときからあります。

 もっとも都市伝説化していたのが、5ドアロングボディのシエラ。ロングボディ(3ドア)に関しては、2代目において東南アジア向けモデルとして存在していました。

 しかし、その頃の日本にはエスクードが存在していたため、日本には導入されていません。それだけに、5ドアのロングボディはファンにとって待望のモデルなのです。5ドアになれば、積載能力も大幅にアップし、さらに使えるシチュエーションが増えます。

 5ドアロングモデルについて、前出のスズキスタッフは、「5ドアですか? いろいろ、巷では話題にしていただいているようですが。ぜひ、楽しみにしていてください」との回答です。この答えから察するに、近い将来に発売される可能性が濃厚かもしれません。

 衰え知らずに販売を伸ばしているジムニーだからこそ、スズキもこの追い風を使って、ジムニーワールドを一気に盤石なものにしたいと考えているはず。オープンやロングボディの発売は、単なる噂ではなく、間違いなく現実に近づいているようです。
 
【了】

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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