交通弱者を守る横断歩道 知らぬ間にデザインが進化した理由

街中で見かける横断歩道のデザイン。実は、ある時期からデザインが変更されていました。なぜ、横断歩道のデザインは変更されたのでしょうか。

「横断歩道」は、景観や安全を考えられたデザインで構成されている

 普段、何気なく通行している横断歩道は、街中を走るクルマから交通弱者を守るための大切な役割を持っています。その横断歩道のデザインには大きく分けて2種類が存在するのです。

横断歩道は歩行者を守る大切な設備

 現在国内で、多く見かける横断歩道のデザインは、横棒だけでできた「ゼブラ模様」です。実は、以前まではゼブラ模様の両端に側線が描かれた「ハシゴ型」が使われていました。

 しかし、最近では横棒だけの「ゼブラ模様」にデザインが変更されています。横断歩道のデザインが「ハシゴ型」から「ゼブラ模様」に変更された理由について、警察庁は次のように話します。

──横断歩道のデザインは、なぜ変更されたのでしょうか

 側線を省略した横断歩道の様式については、平成4年(1992年)11月1日施行の「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令」(平成4年総理府・建設省令第1号)において様式が追加されています。その理由としては、以下のとおりです。

・けばけばしさがなくなり、都市美観上効果がある
・水はけが良く表示面でのスリップを防止できる
・通過車両によって側線が消える弊害がなくなるため、補修が容易となる
・設置にかかる時間が短縮され、道路交通に与える影響が小さくなる

※ ※ ※

 水はけや景観、補修の容易さ、設置時間の短縮など、側線が無い分コストも削減が可能です。さらにゼブラ模様は、ドライバーから横断歩道が浮き出て見えるため視認性も向上し、事故の防止にも役立つといいます。

 日本国内に横断歩道が導入されたのは1920年、法律で横断歩道が定められたのは1960年のことです。それ以降1992年までは「ハシゴ型」の横断歩道を採用していましたが、1992年の11月以降に新たに設置される横断歩道や、補修が行われるものには「ゼブラ模様」のものが使われているのです。

 現在でも、東京・渋谷の109前となる道玄坂下交差点など、スクランブル交差点の「斜め横断」をする場所などにハシゴ型の横断歩道が残っていることもありますが、ほとんど見かけません。

 何気なく過ごしていると気が付かない部分ではありますが、私たちの身の安全や街の景観、事故の防止のために、横断歩道は改善され続け役割を果たしているのです。

【了】

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