雪と戯れられる頼もしい相棒! ボルボ「XC40」はデザイン以上に中身で勝負できるSUV
雪面でも安心できる性能を発揮する「XC40」
今回、試乗したグレードは、「XC40 T4 AWD モーメンタム」。XC40に搭載されるエンジンは2リッターのガソリンダウンサイジングターボのみで、T4とT5という出力スペックが異なるパワーユニットが用意されているのが特徴です。
駆動方式は、FFか4WD。そしてそれぞれのエンジンスペックと駆動式の中に、『インスクリプション』『モーメンタム』『Rデザイン』という装備違いのグレードが用意されるというラインナップになっています。その陣容から考えると、「T4 AWD モーメンタム」はもっとも平均的なグレードといえるのではないでしょうか。
試乗ルートは、北海道の函館から新千歳空港までの約300キロの積雪路。今年の北海道は良くも悪くも積雪量が豊富で、比較的雪の少ないと言われる函館でも路面十分な雪がありました。
試乗車は、ボルボの純正指定となっているスタッドレスタイヤ「コンチネンタル・ヴァイキングコンタクト7」を装着。オプションの19インチアルミホイールが装着されていることもあり、タイヤサイズも235/50R19をチョイス。ノーマルよりもサイズアップしてあります。
今回の「T4 AWD モーメンタム」は、その名の通り、四輪駆動システムを擁しています。ボルボの『アクティブオンデマンド』という4WDは、ボルグワーナー社製のデバイスを使用。コアとなるカップリングは、運動性能統合制御型ソフトウェアによってコントロールされ、走行や路面の状況に合わせて、駆動トルク配分が瞬時に行われるという仕組みです。
もちろん、これにはエンジン出力やブレーキ、8速ATの制御も含まれますが、各輪の駆動トルク配分技術は雪道などの低μ路においては、車両を挙動の核となる非常に重要なファクターです。
ボルボ「XC40」の場合、通常時は前輪95:後輪5というほぼFFの駆動トルク配分になっていますが、タイヤが空転した場合には最大で前輪50:後輪50に可変。さらに左右輪でもトルクスプリットを行うため、雪面の状態が安定しない都市部の雪道などでは、特に安定した走りという点において性能を発揮します。
驚かされたのは、道路状況変化へのフォローが、非常にスピーディだということ。完全に空転しだしてから4WDになるスタンバイ方式とは異なり、事前の道路状態の予測によって、滑り出すという状態をなかなか作らせないのです。これは定常円旋回をしてみると、よく分かります。運動性能統合制御型ソフトウェアが介入している状態だと、スロットル開度が抑えられて急発進すらできません。
これをマニュアルでカットできる「ESCスポーツドライブモード」を使用しても、テールスライドするのはアクセルを大きく開けたときのみで、空転が多くなると駆動トルクをリアに多めに配分して収めようという方向に瞬時に動きます。
とくに運転のしやすさを感じたのは、凍結路の下り。多くのクルマが雪を掻いてしまっている下りコーナーは、いいスピードで入ってしまうと、減速に非常に気を遣います。タイヤを不用意にロックさせてしまうと、次のコーナーでクルマがあらぬ方向を向いてしまうことが予測され、こうした状況下では、ATなどトランスミッションの変速ショックすらスリップのきっかけになってしまうことがあるのです。
ボルボ「XC40」の場合、ギアダウンも含めて、すべてをECUがコントロールしてくれるため、例え雪道運転の経験値が少なくても、何ら心配することはありません。肩の力をぬいてリラックスし、乾燥路と同じようにアクセルを戻し、ブレーキを踏み、ハンドル操作をすれば良く、それだけでは不安を感じるほどの、極悪な下り凍結路に対しては、ヒル・ディセント・コントロールというデバイスも用意されているので、安心して運転できます。