普通とは真逆? オープンカー生まれのクーペ5選

オープンカーを製造するには2パターンあって、オープンカー専用のシャシを作るケースと、クーペやセダンのシャシをベースに、屋根を切り取って作るケースが存在し、2019年に発売される「コペン クーペ」はこれと逆で、オープンカーをクーペ化して登場。同様な開発パターンのクーペ5車種を紹介します。

オープンカー専用に設計されたシャシを使ってクーペ化した5車種

 1989年にユーノス「ロードスター」が発売されて以来、国内外でオープンカー市場が再燃しました。当の「ロードスター」はもちろん、いまも多くのオープンカーが世界各国のメーカーから発売されています。

ファストバックスタイルのホンダ「S600クーペ」

 2018年12月19日にダイハツ「コペン」をベースとした「コペン クーペ」の発売が発表されました。従来、オープンカーの開発方法には2パターンあって、オープンカー専用のシャシを作るケースと、クーペやセダンのシャシをベースに、屋根を切り取って作るケースがあります。

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「コペン クーペ」の場合は真逆で、オープンカー専用のシャシに屋根を取り付けて作り上げています。そこで、同じくオープンカーをベースにクーペに仕立てるという、現代では非常に珍しい手法で作られたクーペ5車種を紹介します。

●マツダ「ロードスタークーペ」

外装がほぼ手作りの「ロードスタークーペ」

 2代目となる「NB型 ロードスター」が発売されてから5年後の2003年10月に、「ロードスタークーペ」がデビューしました。

 マツダでは、初代「ロードスター」誕生以来、幾度かクーペモデルの検討を行なっていたそうですが、2代目にして実現することになったわけです。

 製造はマツダの関連会社の「マツダE&T」が担当。「マツダE&T」では量産ラインで生産されるシャシや流用できる部品を抜き取って搬入し、組み立てが行なわれました。

 ノーマルの「ロードスター」に装着される屋根やリアフェンダーなど、新規に製作されたボディパネルのほとんどが人の手で溶接されたといいます。

 ほとんどの工程を手作りにした結果、作業者の育成が課題になりましたが、マツダの熟練技能者の技術支援を受けて製造に至ったそうです。

 ボディパネルが増えることで懸念された重量増も約10kgに抑えることができ、「ロードスター」の基本的なコンセプトである「人馬一体」も守られました。

●ポルシェ「ケイマン」

「ボクスター」をベースに作られた「ケイマン」

 ポルシェでは「911」よりも安価なカテゴリのモデルとして、1996年に「ボクスター」を発売。オープン2シーターでエンジンは車体中央付近に配置するミッドシップを採用したスポーツカーでした。

「ボクスター」はオープンカー好きの多いアメリカでヒットしますが、一方で走りを重視する層にはクローズドボディが望ましいというニーズもありました。

 そこで、2005年に2代目「987型 ボクスター」のシャシやエンジン、足回りをそのまま使い、クーペボディとした「ケイマン」を発表。

「ケイマン」はクーペ化にあたって、ボディ後半のパネルと屋根部分が新たに設計され、手作りなどではなく工場のラインで製造されました。

 オープンカーの「ボクスター」に対しての重量増はなく、ボディのねじり剛性で有利なクーペとあって、走りを重視するユーザーには好意的に受け入れられました。

 その後も「ケイマン」は「ボクスター」ともにラインナップを拡大しながら、現在では「718ケイマン」のネーミングで販売されています。

●BMW「Mクーペ」

「M3」のエンジンが移植された「Mクーペ」

 マツダ「ロードスター」によって再燃したオープンカー市場へ、BMWは1996年に「Z3ロードスター」を投入。小ぶりなボディに『ロングノーズ・ショートデッキ』という古典的なスポーツカーのデザインを採用し、アメリカのみならず日本でもヒットします。

 この「Z3ロードスター」が大きな改良を行なった1998年に、クーペボディを追加。さらに高性能な3シリーズである「E36型 M3」の3リッター直列6気筒エンジンを搭載したのが、この「Mクーペ」です。

「Mクーペ」のボティはポルシェ「ケイマン」と同様に、ボディの後半部分と屋根部分が新たに設計されています。

 ボディ形状はクーペという名前ながらも、どちらかというとワゴンや2BOX車に近く、2シーターのままということもあり、大容量の荷室を実現。

 最高出力286PSを誇る「M3」のエンジンを搭載しているということもあり、走りの性能は同時期に登場した「ボクスター」を凌駕しており、さらに後期型では最高出力325PSの3.2リッターエンジンを搭載するなど、ハイパワー化に注力していました。

 その後「Z4」にバトンタッチしましたが、「Z4」にもクーペモデルがラインナップされています。

●ホンダ「S600クーペ」

ベースと同様「S600クーペ」は2シーターのまま

 ホンダの歴史的オープンスポーツカーといえば「Sシリーズ」ですが、S600が誕生したのは1964年となります。

 排気量606ccと今の軽自動車よりも小さいエンジンは、直列4気筒DOHCで4つのキャブレターを装備し、最高出力は57PSを発揮。回転数も9000rpm以上回り、当時としては類を見ない高性能を誇りました。

 先代の「S500」を含めてもボディ形状は一環してオープンのみでしたが、1965年に「S600クーペ」が加わります。

「Sシリーズ」はサスペンションやエンジンがマウントされるシャシと、人が乗る部分であるボディが別体の構造となっていたため、ボディを作り直せば剛性など関係なくクーペ化することができました。

 ただし、重量増は否めず、当時としては695kgと重い車体はさらに20kg増の715kに。それ故に、排気量も791ccにアップした「S800」にモデルチェンジすることになります。なお、「S800」にもクーペボディは継承されました。
 

●ダイハツ「コペン クーペ」

「かっこいい」と「かわいい」に意見が分かれそうな「コペン クーペ」

 ダイハツ「コペン クーペ」は、2018年12月現在では未発売モデルです。2019年1月に開催される『東京オートサロン2019』に、市販予定車として出展され、同年1月11日より専用WEBサイトにて200台限定で発売します。

 ダイハツ「コペン」は、2014年6月に発売した「コペン ローブ」「コペン エクスプレイ」「コペン セロ」という、異なる3つタイプになっています。

 この「コペン クーペ」は、「コペン セロ」をベースに、C-FRP製(炭素繊維強化プラスチック=カーボンファイバー)のハードルーフを装着し、本格クーペスタイルを実現しています。

 もともと「コペン」シリーズはシャシを共有して、樹脂製の外装部品を脱着して「着せ替え」する構造となっています。これにより「コペン クーペ」は屋根と一体化したリア部分を載せてクーペ化。トランク部へのアクセスは小ぶりなリアゲートとなっていて、リアガラスには熱線も装備しています。

 ダイハツ「コペン クーペ」の納車時期は2019年4月以降を予定しており、価格(消費税込)は、「CVT仕様(248万4000円)」、「MT仕様(250万5600円)」です。

【了】

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