走りはBMW魂、思想はトヨタ シンプルを追求した新型「スープラ」の凄さとは

BMW伝家の宝刀「シルキー6」を搭載?

 搭載する直列6気筒エンジンは、「絹のように滑らかな」という意味を持つBMWの伝家の宝刀「シルキー6」だと予想できます。直列6気筒エンジンは、そもそも振動に有利で完全バランスと呼ばれており、各シリンダー内部で爆発した力を打ち消しあう構造なのです。

 排気量は3リッターであり、340PSほどを発揮するようです。パワフルでありながら、絹のように滑らかな感覚が心地いいものでした。前後重量配分は50対50で、BMWはこの数字に強く拘っています。ボディの中心に重心点を寄せることで、鋭く旋回するため、スポーツカーにとっては理想的な重量配分だと思います。

旋回性の高さを追求した新型「スープラ(プロトタイプ)」

 左右輪のタイヤの間隔、つまりトレッドが十分に幅広く、それでいて、前後車輪間のホイールベースはとっても短いのが特徴。大きく股を開いて大地に仁王立ちしたように、コーナーでは抜群の安定感が得られるのがワイドトレッドのメリットです。

 それでいて、ホイールベースが短いことにより、旋回性能もシャープになります。これもまた、旋回性能を求めたからの配慮と言えます。

 重心高もスポーツカーである「86」より低いようで、これも安定感に作用するのです。新型「スープラ」は、その数字を耳にしただけで旋回性能に優れたマシンであることがわかります。

 重心が低くトレッドがワイドですから、コーナリング時の安定性が高いのです。それでいて、ホイールベースが短く、エンジンやミッションといった重量物が重心点に寄せられているから旋回性能も鋭いです。

 新型「スープラ」の開発責任者 多田氏は、「特に新しい開発手法ではありません。考えは非常にシンプルです。基本に忠実に開発しました」という言葉で新型スープラの開発姿勢を表現しました。

 最新技術を取り入れているであろうことは想像できますが、あくまで物理的な基本を熟成しただけだというのです。それが新型「スープラ」最大の魅力だと思います。

【了】

トヨタとBMWが共同開発した新型「スープラ」の詳細を画像で見る(25枚)

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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