「ドアがない!?」ホンダのスーパーカー 全高わずか1.1mの“くさび形”ボディにどう乗り込む? 「NSX」にも影響を与えた幻の「HP-X」とは
イタリアのピニンファリーナと組んで生まれたホンダのコンセプトカー「HP-X」は、市販されなかったものの、初代「NSX」に多くのアイデアが受け継がれているといいます。どのようなモデルだったのでしょうか。
全高わずか1.1mの“くさび形”ボディ
ホンダ「HP-X」は、ミッドシップスポーツのコンセプトカーです。
HP-X自体が市販されることはありませんでしたが、その後日本で設計・開発されたスーパースポーツカーである初代「NSX(エヌエスエックス)」には、HP-Xで初めて試されたアイデアや革新の多くが盛り込まれています。
HP-Xは、1984年に開かれたイタリア「トリノ・オートショー」で世界初公開されました。
車名は、Honda Pininfarina eXperimental(ホンダ ピニンファリーナ エクスペリメンタル)の略。その名のとおり、イタリアのデザイン工房ピニンファリーナがデザインと手作業での製作を担当しました。
このクルマは、ミッドシップのスーパーカーを市場に送り出すという同社の意思を示したモデルといえます。

ボディサイズは全長4160mm×全幅1780mm×全高1110mm。低いノーズから後方へ大きくせり上がる、ウェッジシェイプ(くさび形)のスタイルが特徴です。
通常のドアはなく、せり上がる戦闘機風の一体型キャノピーから乗り込む仕組みです。
このキャノピーは取り外しも可能で、後端は後方へ伸びるフェアリングとなっており、ドライバーが操作するエアブレーキの役割も担っていました。
ボディサイドには、フロントのホイールアーチからテールにかけて、空気の流れを整える深いキャラクターラインが幾重にも刻まれています。
さらにグラウンドエフェクトを含む先進的な空力を採用し、軽量化と性能向上のためにハニカムパネルやカーボンファイバー、ケブラーといった素材も使われました。
ボディカラーはホワイトとネイビーの組み合わせで、サイドからリアにかけて赤いアクセントラインが走ります。リアには真一文字のテールランプを配し、下部には空気の抜けを良くする大型のエアロを備えていました。
室内は、淡いパープルのインパネに赤いシートやトリムを組み合わせていました。
ホンダが開発し、HP-Xに搭載された電子式のドライブサポートシステムは、リアルタイムテレメトリーやGPS、“特殊なソナー”による路面状況の警告といった先進機能を先取りするものでした。
パワーユニットは、ホンダのF2用レーシングエンジンをベースとした2リッターV型6気筒DOHC24バルブエンジンです。
これをミッドシップに搭載して後輪を駆動し、5速MTを組み合わせていました。エンジンの冷却にも新しい手法が採り入れられていましたが、出力などの詳しいスペックは発表されていません。
そしてHP-Xの公開から6年後の1990年9月、初代NSXが発売されました。
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公開から40年たった2024年、HP-Xは再び公の場に登場します。
ピニンファリーナの工房で大規模なレストアを受け、同年8月に開かれた第73回の米国「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」の「ウェッジシェイプ・コンセプトカー&プロトタイプ」クラスに展示されたのです。
1984年以来となる本格的な公の場への登場で、北米で披露されるのはこれが初めて。また、同コンクールに日本車がエントリーしたのは、50年以上ぶりのことだったといいます。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。


































































































