初代から新型「デリカD:5」まで 唯一無二のミニバン、三菱「デリカ」50年の軌跡を振り返る
アウトドア派ファミリーに絶大な人気を誇った3代目「デリカ」
1986年6月に「デリカ」は3代目へとフルモデルチェンジを行ないました。2代目のイメージを踏襲する角ばったボディには、1982年に発売された「スタリオン」と共通の2リッターガソリンエンジンや、ターボチャージャーを備えた2.5リッターディーゼルエンジン、2.4リッターガソリンエンジンが搭載されました。
2代目となった「デリカスターワゴン」の4WDモデルはグリルガードを備え、ボディは軽量化や剛性アップが図られたモノコックボディを採用し性能アップを図りました。
1989年には4WDモデルにハイルーフ仕様を設定し、広々とした室内だけではなく、ルーフをガラス面で覆った、世界初の電動サンシェードを持つ「クリスタルライトルーフ」が装備されました。
1990年8月のビッグマイナーチェンジでは、エクステリアデザインの大幅な変更や、クラス初となるプロジェクターヘッドランプの採用と、上質感の高いインテリア仕様とした「デリカ スーパーエクシード」が追加されました。
「デリカ」を求める層は若者よりもアウトドア好きのファミリー層であり、1BOXタイプRVとして非常に高い人気を誇りましたが、本格的な4WD車である「パジェロ」の人気が高まるとグレード展開の見直しが繰り返され、新型と併売されつつも1999年に国内生産を終了しました。
スタイリッシュなミニバンに生まれ変わった4代目「デリカ」
1994年5月、これまでの「デリカ」とは異なり、フロントにボンネットを持つミニバンタイプの「デリカスペースギア」が発売。エンジンは先代のフロントシート下から、前面衝突に対応したフロントエンジンレイアウトが採用され、乗用車として安全性能を向上させました。
ボディタイプも『エアロルーフ/ツインサンルーフ/ハイルーフ/クリスタルライトルーフ』と4つのルーフ形状が設定され、標準ボディのほかに全長5mを超えるロングボディも用意されました。
エンジンは4WDモデルに2.4リッター、3リッターガソリンエンジンのほかに2.8リッターディーゼルエンジンを搭載し、4WDシステムは2代目「パジェロ」と同様の「スーパーセレクト4WD」が採用されました。サスペンションも2代目「パジェロ」を踏襲することで「パジェロ」並みの走破性を実現しています。
1997年7月にマイナーチェンジを行ない、フロントマスクを変更。ヘッドライト周りをシャープな印象とし、フロントフェンダーをブリスターフェンダー風にするなど、スタイリッシュなモデルへと進化しました。
さらに、当時の主力エンジンであったディーゼルエンジンも燃料噴射装置を機械式から電子制御化することで出力を向上。しかし、排ガス規制の強化で、2004年10月にはディーゼルエンジン搭載車は廃止されてしまいました。
そして、2007年1月、13年ものロングセラーだった「デリカスペースギア」の生産が終了しました。