北海道の本気の厳寒対策に学ぶクルマの冬支度 寒さトラブルは都市部でも遭遇する?
クルマの冬支度といえば冬用タイヤやチェーンですが、そのほかにも冬支度はたくさんあります。そこで、本州とは気温も雪質も全く違う北海道のクルマの冬支度を参考にしたいと思います。
エンジンの冷却水は濃度に注意
暑かった夏も終わり、朝晩の気温はひんやりしてきて秋も本番。そうこうしているとすぐ冬がやってきます。クルマの冬支度といえば冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ等)やタイヤチェーンがすぐに思い立ちますが、そのほかにも冬支度はたくさんあります。本州とは気温も雪質も全く違う北海道のクルマの冬支度はどうなっているのでしょうか。
北海道は本州では観測しないような氷点下の気温になり、粉雪も舞うことから、クルマの冬対策について本気度は高いです。そこで、北海道在住の整備資格を持つ方に、厳冬期対策について聞きました。
「厳寒期になると起こるトラブルのひとつは、エンジンの冷却水に関係しています。冷却水はLLC(ロングライフクーラント)とよばれるほか、不凍液ともいわれ、水よりも凍りにくい液体を使っています。それでも、マイナス30度といった場面では凍ってしまわないようにLLCの濃度を高めて使います。
通常、新車の状態ではLLCの濃度は30%といわれており、氷点下15度まで凍らないようになっています。さらに低い温度に対応させるために濃度を濃くしていきますが、60%以上は濃くしても意味がなく効果の向上が見込めないとされています。
一般的なLLCの濃度と凍結温度の関係は以下となっています。
・30% -15度
・40% -24度
・50% -36度
・60% -54度
そして、LLCは消耗品です。LLCの主成分の「エチレングリコール」は年数が経つとともに酸化が進み、さらに進むと腐食性物質が生成され、LLCを循環させるウォーターポンプの破損や、熱を逃がすラジエーターの詰まりなどにつながり、LLCが循環しないことによるオーバーヒートの原因になりますので要注意です」
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LLCはそれほど高価なものではありませんので、従来型のLLCでは通常よりも短い頻度の1年に1回交換しておけばかなり安心とのことです。なお、最近のクルマでは青色やピンク色をした高寿命タイプのLLCを使っているため交換頻度は異なります。