映画『初代ゴジラ』と同い年! ホンダから初のスクーター「ジュノオ」が登場!! 巨大な風防で雨でも濡れずに走れる“二輪乗用車”だった
1954年に発売されたホンダ「ジュノオ」は、世界的に見てもユニークな最新の技術と素材で作られた豪華な“二輪乗用車”的スクーターです。美しいボディラインで、ローマ神話の女神から「ジュノオ」と命名されました。
世界初のセルモーターにFRPボディで全天候型風防付き
映画『ゴジラ』の第1作目が上映されたのは、戦後の復興から経済成長へ向かう1954年のことでした。また「第一回全日本自動車ショウ」(現ジャパンモビリティショー)が東京の日比谷公園で開催され、展示車両267台の中で、乗用車(クルマ)は17台のみだったと言われています。
この時期には国内のスクーター市場は年間10万台と膨れ上がっており、まさにブームと言えるこのタイミングで、ホンダとしては初めてのスクーターを発売しました。
ローマ神話の女神から命名された「JUNO(ジュノオ)」は、単なるスクーターではなく、“二輪乗用車”を目指した新しいモビリティでした。
ホンダはスクーター市場参入にあたり、独自のデザインとともに新しい機能や素材などを満載した、斬新な豪華スクーターを目指しました。
「ジュノオ」はスクーターですが、排気量189ccのバイク用エンジンを流用しており、マニュアルミッションの3段変速でした。
そして二輪車では世界で初めて、エンジン始動用セルモーターを採用した事は大きな注目点です。

豪華装備の「ジュノオ」は全天候型の大型風防を装備していました。3枚の透明アクリル樹脂パネルで雨風や真夏の日差しからライダーを守る構造となっています。
また「ジュノオ」の特徴はその造形美です。ボディパネルには強化プラスチック(FRP)を使用し、独創的なスタイルを実現しています。
当時の最も新しい科学素材で、乗用車でもアメリカのスポーツカーに世界初採用されたばかりでした。大量生産技術はまだ発展途上で、原料はアメリカから輸入されました。
ダッシュと呼ばれたハンドルまわりには、オプションでラジオを装備することもできます。
見栄えが良く、豪華な装備を施した「ジュノオ」は、まさに“ニ輪乗用車”と呼べるほどの出来栄えとなりました。
しかし苦労して開発したFRPの生産技術でしたが、軽量化するはずのボディパネルは予想以上に重く、車両重量は170kgにもなってしまいます。
その重量に対して、最高出力7.2PSではさすがに非力で、スクーターのブームには乗り切れず、1年半の生産期間で販売された台数は5956台でした。
後継機として、排気量169ccの水平対向OHVエンジンを搭載した「ジュノオM型」が1961年に発売されました。
ホンダ「ジュノオ」(1954年型)の当時の販売価格は18万5000円です。
【主要諸元】
全長×全幅×全高:2070×800×1025mm(全高は風防を含まず)
車両重量:170kg
エンジン形式:空冷4ストローク単気筒OHV
総排気量:189cc
最高出力:7.2ps/4800rpm
変速機:3段変速
燃料タンク容量:7.6リットル
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員
















