“カスタム・バイクって何?” その基本の基本を知る

メーカーからリリースされた車両に手を加え、自分好みの仕様へと変化させるカスタムという行為。ここではその基本となる考え方や歴史についてお伝えします。

カスタム・バイクが存在する意義とは何か?

 メーカーの工場から出荷されたノーマルのバイクに対して、一人、一人のオーナーやバイクショップが手を加えた“カスタム・バイク”というものが、この世には存在します。ここでは、その“カスタムとは何か?”という基本を、ごく簡単に説明したいと思います。

 そもそも“カスタム・バイク”とは何の為に生まれたのでしょうか? またノーマルのバイクにカスタム(改造)の手を施す意味は何でしょうか? その答えは千差万別、様々な理由があります。何故なら“カスタム”とは、それぞれのライダーたち、それぞれの“個”に向けて造られるべきものだからです。

神奈川「キャンディモーターサイクル」によるヤマハSRカスタム

 カスタム・バイクの語源は、 “Custom(顧客)”に合わせてオートバイを個々に製作することです。

 ちなみに英語の“Custom”という言葉の意味を調べると “(確立されている社会の)慣習、風習、慣例、(個人の)習慣、習慣的行為、(商店などの)愛顧、引き立て、お得意、顧客、関税”などの意味が記されています。

 それを更に、英語的に分かりやすく説明すると“Customize”という言葉の方がストレートなものかもしれません。この“カスタマイズ”という言葉は“自分仕様に特別注文する”という意味を持ちます。

カスタムの歴史、その根源はレーサーにあり

 何故、カスタムという行為が誕生したのでしょうか? 歴史の記録として残っているもので言えば1920年代にアメリカのカリフォルニアで“ロングビーチ・カットダウン”と呼ばれたバイク(ストリート・レーサー)があったと伝えられています。

 当時のハーレーダビッドソンをベースに、雨天時などリアタイヤからの泥を除ける役割を果たすフェンダーをカット(切断)、ガソリンタンクを小型でコンパクトなものに交換することで軽量化を果たし、操作性を向上させる為、ハンドルの形状を扱いやすいものに変え……といったマシンがカスタム黎明期に製作されたと云われています。

ハーレーを素材にした「ボバー」(茨城のハマーサイクル製作)

 ちなみにこれらのマシンは、リアフェンダーをカットした姿が“競走馬の切り尾”を連想させることから“Bobber(ボバー)”とも呼ばれています。
いわゆる女性の“ボブカット”と同じ意味の言葉が語源です。

 現在では“外装を変え、スタイルを自分の好みにする”や“車体の色を変えて世界に一台のマシンを造る”など様々な理由でカスタム・バイクが製作されているのですが、そもそもは一人、一人の乗り手に合わせた“操作性の向上”や、重量がかさむノーマル・バイクを軽量化し、性能をUPすることが、カスタム製作のはじまりだったと考えられます。

カスタムの原点「ボバー」の詳細を画像で見る(11枚)

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