トヨタ新型「ランクルFJ」試乗! 「2.7リッターNA」で車重2トンはキツイ!? 不安視されたパワー不足の真相は? 悪路で試してわかった“驚きのトルク”と実力

2026年5月の発売以来、高い注目を集めているトヨタ新型「ランドクルーザーFJ」。ランクルシリーズの中ではコンパクトなモデルですが、実はこの「短いホイールベース」がオフロードでは強烈な武器になるのです。兄貴分のランクル300やランクル250にはない、FJならではの圧倒的な機動力とメリットに、ジャーナリストの工藤貴宏氏が迫ります。

“最新のランクルながら原点に近いモデル” FJならではのアドバンテージとは?

 今年注目のニューモデルであるトヨタの「ランドクルーザーFJ」シリーズ(以下FJ)。

 2026年5月中旬に発売され納車も始まりましたが、毎月の販売計画がわずか1300台ということもあり実際に街で見かけるようになるにはまだまだ時間がかかるでしょう。

 そんななか、筆者は幸運にも愛知県にある「さなげアドベンチャーフィールド」のオフロードコースでFJを運転することができました(さなげアドベンチャーフィールドではレンタル車両として試乗することができます)。今回はその印象をお伝えしましょう。

 まずお伝えしたいのは、オフロードにおいてパワー不足か否かということ。

 なぜなら排気量2.7リッターの自然吸気ガソリンエンジンを積むFJの最高出力は163PSと控えめで、最大トルクも246Nm。

 同じエンジンを積むランドクルーザー250に対して250kgほど軽い車体とはいえ、2トン近い車両重量に対して力強いスペックとはいえないでしょう。

 筆者も試乗する前は、そこを不安視していました。しかし実際にオフロードコースで試乗してわかったのは、その不安は杞憂だったということ。ゆっくりゆっくり走るような極悪路においては十分な動力性能でした。

 たしかに通常走行だとパワフルとは言い難い動力性能です。しかしFJには副変速機が備わっていて、悪路走行のためにローギヤに入れると減速比が高まり路面により多くのトルクを伝えることが可能。その伝達トルクはハイギヤ時に比べ約2.5倍となります。

 砂漠を走る際などはまた別の話となりますが、山林などゆっくり進むような険しいオフロード走行に必要なのはパワーよりもトルク。なのでローギヤに入れて極悪路のオフロードコースを走るのであれば、動力性能不足は感じないことを実感しました。

険しい道も難なくこなすトヨタ「ランドクルーザーFJ」!
険しい道も難なくこなすトヨタ「ランドクルーザーFJ」!

 いっぽうで、他のランドクルーザーにはないFJならではのメリットを感じることもできました。それはショートホイールベース。FJのホイールベースは2580mmですが、これはランクル300やランクル250の2850mmはもちろん、70シリーズ(セミロング仕様)の2730mmよりも短いもの。

 おかげでランプブレークオーバーアングルは27度(250は23度で300は25度、国内販売している70でも26度)と現行のランクルシリーズでもっとも高い値となっているのです。険しい悪路においては大きなアドバンテージとなるでしょう。

 また短いホイールベースはコブを乗り越えながら進んでいくモーグル路を走るときなどでもメリットを実感。窪んだ場所にタイヤを沈め、対角側のタイヤを浮かせるようなシーソー状態になっても高い安心感を持ったまま走り抜けることができました。

 さらに、全長4.6mにも満たない短いボディは狭いオフロードコースを走るときに抜群の機動力も実感。小回りが利き、他のランドクルーザーだと車体後方がコース脇の樹木や壁に接触しないよう注意を払わなければならない場所でも、FJなら気にしなくていいのです。

 実際にFJをオフロードコースで走らせてみると、そういったメリットがあることもわかりました。

悪路でも安心感のある走りを見せるランクルFJ
悪路でも安心感のある走りを見せるランクルFJ

 ところで、FJには300シリーズや250シリーズとは大きく異なり、70シリーズと同等といえる悪路走行に重要なメカニズムがあります。それは4WDシステム。

 300&250シリーズはセンターデフを組み合わせるフルタイム4WDですが、FJは70シリーズと同じくコンベンショナルな機械式のパートタイム4WDを採用。

 ランクルのフルタイム4WD にはデフロックも備わるので、4WD機構の違いが絶対的な走破性を左右するわけではありませんが、「70と同じ機構」というだけでテンションが上がる気がするのは筆者だけでしょうか。

 またFJは300や250と違ってスタビライザーの効きを切り替えるシステムやマルチテレインセレクトなどオフロード走行のための高度な電子制御システムは組み込まれていません。シンプルな作りと言っていいでしょう。

 しかし電子制御に頼らず機械としての能力の高さとドライバーの腕で悪路を乗り越えていく感覚はランクルのレジェンドと言える70に近いもの。

 そういう意味では「最新のランクルながらランクルの原点に近いモデル」といっていいのかもしれません。険しいオフロードコースをFJで走りながら、そんなことを思いました。

 ちなみに開発を担当したエンジニアは「絶対的な悪路走破性は70と300が高い。70は機械としての実力で走破性を高め、300は電子制御で前へ進んでいく。250やFJはそれらに届かないが、ランクルとして定められた厳しい水準を満たす性能をしっかり担保している」と話していました。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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