アイシンの「挑戦の軌跡」を体感 展示館リニューアルで見えた、メガサプライヤーの底力とは
アイシンの魅力を発信する展示館「コムセンター」が新たに生まれ変わります。展示数をあえて絞り込み、過去の「失敗」などのエピソードを公開。完成された製品だけでなく、挑戦のプロセスから生み出される同社の真の価値を伝えます。
ヒストリーゾーン(1階)の展示ハイライト
ヒストリーゾーンの幕開けである創業期の展示では、「アイシンが挑んだ『移動』の原点 航空機産業への挑戦」と題し、豊田喜一郎氏の大衆向け航空機に向けた取り組みや、愛知工業・新川工業といったアイシンの前身企業の成り立ちを紹介。戦後の転換点として、平和産業である家庭用ミシンの開発に見出した活路とその歴史がパネルで詳細に解説されています。
続く展示では、ミシン生産で培った精密加工技術が自動車部品へと応用され、大きな成功を収めた事例として、2速半自動変速機「トヨグライド」が紹介されています。
量産乗用車に国内で初めて搭載され、トヨタの「マスターライン」などに採用されたこの製品は、トヨタ自工でさえ月産50台の量産に苦労するほど困難なものであり、1959年にトヨタによる生産が開始されました。その後、アイシン(当時の愛知工業)はその精密加工技術を生かし、1961年よりトヨグライドの受託生産を開始し、部品業界における地位を大きく向上させました。
しかし、挑戦の過程には必ず試練があります。アイシンが受託生産を開始した1961年当時、時速160kmを超える走行時にオイル漏れが発生するという重大な品質問題に直面。
アイシンはこの失敗から品質の重要性と過酷な走行試験の必要性を痛感し、1970年に自前の「藤岡試験場」を建設しました。
自ら設計・試験を実施して開発へフィードバックする体制を確立したことが、技術力の向上と部品メーカーとしての自立を強く後押ししたという「失敗から得た大きな教訓」が、当時のテストコース略図や耐久走行のナンバープレートとともにリアルに展示されています。

プロダクツゾーン(2階)などの最新展示ハイライト
過去の挑戦の歴史を学んだ後には、現在のアイシンが描く未来のモビリティ社会の展示が広がっています。
「アイシンが提供する『移動』の価値」のパネルでは、「走る・曲がる・止まる」の基本機能を支えるパワートレインユニットやブレーキシステム、ステアリングなどに加え、熱マネジメントデバイスやバッテリーヒートシンクを含む電池骨格(ギガキャスト)といった最新コンポーネントが解説されています。
これらを「車両統合制御」によって環境に合わせて最大限に引き出し、ユーザーに寄り添う快適な乗り心地と、安全・安心な移動体験を追求している姿勢が視覚的に理解できます。
また、「電動化への対応」のコーナーでは、eAxle(電動ユニット)の小型・高効率化や回生協調ブレーキの開発、さらには空気抵抗を減らすグリルシャッターなどの空力デバイスを組み合わせることで、クルマ全体の「電費向上」を図り、カーボンニュートラルの達成に向けた取り組みを強力に推進していることが示されています。

ネオン管のデザインが目を引く「What’s AISIN Intelligence?(アイシンの知能化ってどういう事?)」のエリアでは、アイシンの強みである幅広いハードウェア製品群に、最新の認知・判断技術(ソフトウェアやセンシング)を掛け合わせるビジョンが解説されていました。
データ解析や地図情報を用いて社会インフラやクルマ同士が繋がり、クルマ自身が認知・判断を行って「走る・曲がる・止まる」という行動と融合させることで、危険をあらかじめ回避したり、誰でも快適に過ごせる移動空間を提供したりと、移動のあらゆる場面に新たな付加価値を生み出すことを目指しています。

さらにグローバルな事業展開を示す展示として、「AISIN AFFORDABLE AUTO PARTS MALL(補給適格部品の総合デパート)」があります。
これは世界中の多種多様な市場ニーズに応えるため、ワイパーやバッテリー、サスペンションパーツなど、アフターマーケット部品の品揃えを包括的に強化し、総合モールのように幅広く展開している事業の姿を象徴しています。
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アイシンは今後も「コムセンター」を通じて企業理解の促進を図るとともに、社会課題の解決に向けた挑戦や取り組みを積極的に発信していくとしています。
過去の失敗を包み隠さず展示し、ユーザーに寄り添い続けてきたアイシンの「挑戦の軌跡」。そして、100年に一度の大変革期に挑む最新のインテリジェンス技術と電動化への取り組み。その両方を深く体感できる新生「コムセンター」は6月22日から一般公開されます。
Writer: くるまのニュース編集部
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