入門用「GRカート」今秋発売 トヨタ車の生産技術で低価格化 GRが次世代の人材育成へ
トヨタ自動車のGAZOO Racingは、モータースポーツの裾野拡大に向け、入門用「GRカート」を2026年秋に発売する。自社の車両生産技術を応用したコスト削減により、大幅な低価格化を実現。維持管理の容易さも追求し、競技人口の拡大とともに、将来の自動車産業を担うエンジニアやメカニックの育成を狙う。
入門用「GRカート」 2026年秋発売へ向けた新たな挑戦
モータースポーツの敷居を下げ、より身近なものにするためにGAZOO Racingが開発を進めている入門用「GRカート」。
2026年秋のデビューを目指し、車両の詳細な仕様や開発背景が公開されました。
ファミリー向けのミニバンに積載可能なサイズや、維持の手間を省く工夫など、初心者が始めやすい環境づくりに焦点を当てています。
競技用のレーシングカートは車両本体や維持にかかる費用が高額になりがちであり、モータースポーツは特定の層しか楽しめないという課題がありました。
野球やサッカーのように、誰もが気軽に始められるスポーツにしたいという思いから、GRは入門用となる「GRカート」の開発を進めています。
今回、実車の詳細な機能や、2026年秋の発売を目指す今後のスケジュール、そして専用工房の開設が明らかになりました。

■ モータースポーツを身近に
現在のレーシングカートは、初期投資や維持費が高く、裕福な家庭でなければ続けることが難しいという現実があります。
GRカートは、既存のレーシングカートと対立するものではなく、エントリー層を広げるための共存関係を目指して開発されています。
2026年秋頃の生産開始に向けて、愛知県蒲郡市(ラグーナ蒲郡隣接)に「蒲郡GRカート工房」が完成しました。
価格設定については、従来のカートが100万円を超えることもあるなかで、大幅な低価格化を目標としており、GRの高橋プレジデントは「車体は40万円を切る価格、タイヤも4本で1万円程度を目指している」と話します。
低価格を実現するために、トヨタの自動車生産技術を応用し、フレームの溶接工程にロボットアームを導入するなど、品質を保ちながらコストを下げる手法が取られています。
モータースポーツを始める際のハードルとして、車両の運搬や保管場所の問題が挙げられます。
GRカートは、ノアやヴォクシーといったファミリーミニバンに分解せずにそのまま載せられるサイズに設計されています。
さらに、ガソリンやエンジンオイルを入れたまま縦置きできる構造を採用。これを実現するために、オイルキャッチタンクや、燃料漏れを防ぐフロート室レスのダイヤフラム式キャブレター、横にしても漏れにくい燃料タンクが備わっています。専用のカートスタンドと縦置きスタンドを使用すれば、1人で乗せ降ろしを行うことも可能です。
メンテナンスの面でも、チェーンオイルによる汚れを防ぎ、張り調整が不要となるオートテンショナー付きのベルトドライブを採用。バッテリーは自己充電式のリチウムバッテリーを内蔵しているため、外部での充電作業は不要です。

身長135cmから185cmまで対応できるよう、ドライビングポジションの調整機構が組み込まれています。ヒールの高さ調整と連動するペダルのスライド機構や、ワンタッチで角度を変えられるステアリングにより、子供から大人まで適切な姿勢で運転することができます。
安全面への配慮も多岐にわたります。後続車のタイヤが乗り上げることを防ぐ形状のリアバンパーや、万が一のハブ抜けを防ぐリアハブのストッパーピンを装備。
シートの縁は乗降時に手をつく平面とやけどガードの機能を兼ねており、アクセルワイヤーは乗り上げによる暴走リスクを減らす構造となっています。
また、重量調整を容易にするため、最大15kgのウエイトを搭載できる専用のボックスを備えており、車両規定に合わせた調整が手軽に行えるよう設計されています。
※ ※ ※
GRカートは、競技で勝つことよりも「乗って楽しい」ことに重きを置いています。
トップスピードは時速60kmから70km程度に抑えられていますが、プロのレーシングドライバーによるテスト走行でも、ステアリングやブレーキの応答性が良く、操作に対して素直に動くコントロール性が評価されています。
速度を抑えつつも、ドライバーの入力に対して正確に反応するため、運転の基礎を学ぶのに適した特性を持っています。
今後は、2026年秋の発売に向け、全国のカートコースやGRガレージでの取り扱いが検討されています。
これらの取り組みは、モータースポーツを将来にわたって持続可能にするための施策です。
カートに触れてモータースポーツを経験した子供たちが、将来の自動車ファンになり、エンジニアやメカニックなど自動車業界を支える人材へと育っていくことが、このプロジェクトの最終的な目的として設定されています。
Writer: くるまのニュース編集部
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