上から落とすか、下げてから押すか ボンネットの正しい閉め方はどっち?
ボンネットの構造にも違いがあった
トヨタのように形状の違い以外にも、他社ではボンネットの閉め方に違いがあるようです。
ホンダの現在のラインナップでは、ほとんどの車種の取扱説明書に「約30cmの高さから手を離します」と記載していますが、一部の車種では「手で押さえつけるように閉めます」と記載しています。こちらもホンダに聞いてみました。
──閉め方の違いがある理由はなんでしょうか。
ボンネットを支える部分の構造の違いが理由になります。「NSX」や「レジェンド」「S660」といった車種には、ボンネット(フード)にダンパーが装着されています。これによりボンネット(フード)が開いたまま、手を離しても勝手に閉まらない構造になっています。
ダンパーが付いていることで、下までおろして手を離したとしても、ボンネットの自重では完全にロックまで至らないので、最後に押す必要があります。
素材の違いや、それ以外の理由もあった
輸入車ではどうでしょうか。フォルクスワーゲン聞いてみたところ、違った視点からボンネットの閉め方を規定しているようです。
──ボンネットの閉め方はどのように規定されていますか。
ボンネットを閉める方法ですが、取扱説明書などでは、「20~30㎝」の高さからボンネットの重さだけでロックさせる方法を勧めています。古いモデルならどうかわかりませんが、上から押すというような記載をしているモデルは2018年現在ありません。
──どういったことが理由としてあげられますか?
取扱説明書などに明記はしていませんが、大きな理由としては「対歩行者保護」のためから規定しています。
万が一、歩行者と衝突した際に人間の被害を軽減するため、ボンネットには柔らかい素材を採用しています。柔らかいといっても簡単にへこむことはありませんが、力の強さには個人差もあり、へこんでしまう場合もあるということで、基本的には上から落として閉めるようにとアナウンスしています。
──素材自体が柔らかいとはどういうことでしょうか?
弊社のラインナップの中で、安全装備として「アクティブボンネット」という機能を装備しているモデルがあります。これは、衝突時に少し浮くといいますか、わずかに開くような機能となっています。ボンネットの裏側に空間を作って、衝突したときに歩行者への衝撃を軽減させるために、昔と比べると柔らかめの素材を使用しています。
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形状や構造、素材により、ボンネットの閉め方が決められているようです。また、どのメーカーでも上から押して閉める際は、強く押してボンネットがへこまないようにと、注意をしています。ボンネットがへこんでしまうと、場合によっては丸ごと交換する必要が出てきてしまい、大きな出費になりかねません。車種によっては、修理費用が数万円から数十万円になるケースもあるようです。
ボンネットを高いところから落とすことに抵抗がある方もいるかと思いますが、30cm程度から落として閉めるということを想定して作られていますので、それによる不具合は起きません。心配であればご自身のクルマの取扱説明書を確認するか、購入したお店に、ボンネットの閉め方を聞いてみるのはいかがでしょうか。
【了】