タンデムって何か知っていますか? バイクの2人乗りにもルールがあるんです
タンデムのコツは、運転者も同乗者も共に気配りが大事
そんなタンデムのコツを、マン島TTや鈴鹿8時間耐久レースに出場経験のある『走るモーターサイクルジャーナリスト』の伊丹孝裕さんに聞いてみました。
「タンデムするときは、何事もスムーズにゆっくり余裕をもって動作することを心がけています。パッセンジャーを寝かしつけてしまうような感じに……。というのも、パッセンジャーが緊張してしまうと、身体が硬くなってギクシャクしてしまい、自分で入力するのとは違った動きが働いてしまったりするからです。
できるだけ緊張させない乗り方、例えば、ブレーキはリアから先に掛けて車体のピッチングが起こらないように停車するとか、ギアチェンジもスロットルの開け閉めも、パッセンジャーが気づかないようにできるだけスムーズにして、車体の挙動を押さえる、レーンチェンジは車体を傾けなくてもできるくらいに余裕をもって行なうなど、ひとりで乗っているときよりもマージンを多くとって運転するようにしています。
また、乗り降りの時も『乗るよー!』とか『降りていい?』とか必ず声を掛けてもらい、備えておくことも大切です。さらに、バイクに慣れていない人はタンデムステップに足を掛けて乗ると思いますが、これは片方だけにかなりの過重がかかるので、バランスを崩しがち。スタンドを補助代わりに立てておくことをお勧めします。
乗り降りの時は、ギアを入れたりブレーキを掛けるなど、車体が動かないようにするといった工夫も必要ですね。そして、パッセンジャーには、動くと危ないから動かないで、とお願いすることをお忘れ無く。できれば荷物になったつもりで自然に身体を預けてもらってください。
バイクに初めて乗る人には簡単にバイクの挙動を説明してあげると、安心するかもしれません。とにかく、タンデムは信頼関係が一番大切かと。バイクを嫌いになって欲しくないからこそ、目一杯気を使って楽しいタンデムライフをお送りください」(伊丹孝裕さん)
ちなみに筆者(サトウマキ)は女性ということもあり、仕事柄さまざまなバイクや人とタンデムをしてきましたが、伊丹さんの場合「いつギアチェンジしているの?」っていうくらいスムーズで、乗っていても疲れをほとんど感じることなく紳士的な運転です。
ちなみに「乗りたくないなぁ」と感じるのは、ひとりで乗っているときと同じような、自分本位の運転しかしない人。ライディングのテクニックがあって速くて上手いのですが、見せつけられているようでパッセンジャーには優しくないな、と感じてしまいます。タンデムの時は速く走るのではなく、紳士に走ることが大切なのです。