ハンドル根元から伸びる「コラムシフト」なぜ消えた 時代は「インパネシフト」に
コラムシフトなぜ衰退?
ところが、コラムシフトはその後衰退し、インパネシフトに移行していきます。その先駆けは、「オデッセイ」などのライバル車として登場した1997(平成9)年発売の三菱「シャリオ グランディス」で、「オデッセイ」も1999(平成11)年発売の2代目からはインパネシフトに変更されました。「CR-V」の場合、2001(平成13)年発売の2代目ではレバー位置がスピードメーターとセンタークラスターの中間に変更され、コラムシフトの雰囲気を残しつつもインパネシフトに移行しています(3代目以降はインパネ中央に移行)。
「シャリオ グランディス」の発表資料を見ると、インパネシフトを採用した理由について、「ウォークスルーを実現した上、コラムシフトでは味わえないスポーティなシフト操作を楽しむことができる」と紹介されています。コラムシフトからの移行についてはホンダも、「操作がしやすく、ナビなどの視認性がよいことからインパネシフトに移っていきました」とのこと。レバーの長いコラムシフトは“遊び”が大きく、フロアシフトやインパネシフトと比べてシフト操作がしづらいといったデメリットがあるのです。
ちなみに、コラムシフトは前席3人掛けのベンチシートを備えたクルマでも多く採用されていました。それは昔のアメリカ車に多く、このようなクルマは日本では「ベンコラ」(ベンチシート+コラムシフトの略)とも通称されます。1990年代から2000年代にかけては、コラムシフトを採用した日産「ティーノ」など前席3人掛けのクルマがいくつか発売されたほか、現在もタクシーでは地方を中心に、セダンでも客が5人乗れる「ベンコラ」のクルマが走っています。
前席ベンチシートの場合、コラムシフトならば真ん中に座る人にも邪魔になりにくく、この点においてはインパネシフトよりも分があるかもしれません。しかし、こうした前席3人掛けのクルマは、日本においても、アメリカにおいても需要が減っています。わざわざ前に3人座らなくても3列シートで十分ですし、タクシーにおいては、窮屈にも見えるベンチシートよりも、ゆったりと座れる高級感のある車両が求められるそうです。
【了】