世界中が待ち望んだライトウェイトスポーツ「ロードスター」の歴史はここから始まった
1.8リッター化による出力向上や、限定車も多数販売
エンジニアが追い求めたライトウェイトスポーツカーを開発するため、多くのこだわりによる割り切りが多かったユーノス・ロードスターですが、徐々に手が加えられることになりました。
まず、1989年の発売当時は5速マニュアルトランミッション車のみでしたが、1990年3月にはオートマチックトランスミッション車が追加され、オープンエアクルージングを手軽に楽しみたい層の選択肢に入るようになりました。
また、当初は、レッド、ブルー、シルバー、ホワイトの4色のみだったボディカラーも、1990年7月にイギリスのスポーツカーを思わせる深いグリーンとタン色の内装を組み合わせ、本革シートやナルディ社のウッドステアリング、シフトノブを採用した「Vスペシャル」が発売されると、こちらも人気グレードとなりました。
1991年7月には、イエローボディの特別限定車「Jリミテッド」の発売。同年8月には「Vスペシャル」にブラックカラー追加と、バリエーションが増えていきます。
1992年には、サスペンションやホイールにビルシュタイン、BBSといった高級パーツを装着、リアスポイラーを装備した「Sスペシャル」が追加され、増え続けるユーザーニーズへ対応しました。同時にロードスター全体にも改良を加え、当初はなかったトランクオープナーの追加や、ネジ式の差し込み脱着式だったラジオアンテナが、電動伸縮式に変更されるなど、使い勝手の向上も図られました。
モデル途中の最大の変更点としては、1993年7月に1.6リッターだったエンジンを1.8リッターにするマイナーチェンジが行われました。最高出力は130PS、最大トルクは、従来の14.0kg-mから16.0kg-mとなり、排気量アップに伴って性能は向上しましたが、燃費改善のためのギア比変更や、ボディ補強などの重量増で980kgとなったことで、その出力差を強く体感できるほどではありませんでした。
1.8リッターになったロードスターにも多くのバリエーションが存在しましたが、1995年8月には「シリーズ2」と呼ばれるモデルへ移行します。
最高出力などのスペックは変更されていませんが、エンジンを制御するコンピュータを高性能化することで燃焼を最適化したり、スロットルレスポンスのさらなる向上のためのフライホイール軽量化、マニュアルトランスミッション車の最終減速比を変更することなどにより、1.8リッターエンジンに変更された際に不満要素となった部分を大きく改善しています。
その後も改良を継続し、限定車をデビューさせ、2代目「ロードスター」が発売される1998年1月までの長期に渡り、初代ロードスターは根強い人気を維持していました。