日本のコンパクトは「ノート」「アクア」の2強時代? なぜ「フィット」は加われないのか
落ちてしまった「フィット」の名声に、復活の策はあるのか?
そのアクア登場以前に隆盛を誇っていたのがホンダ「フィット」です。2代目までは常にプリウスの次に売れており、コンパクトクラスでは常に首位となっていました。2013年9月に現在の3代目が発表されますが、発売当初はプリウスを押さえて3ヶ月連続で販売台数首位を走りました。
しかし、複雑な制御のデュアルクラッチ・トランスミッションや、その他のシステムに不具合が多発して数回のリコールを出すこととなり、フィットのブランドイメージが揺らいでしまいます。また、時代が燃費を軸としているところに新システムのハイブリッドで応えての登場となったのですが、フィットの主力はどうしても1.3リッターのガソリンエンジン車となっており、フィット1車種でアクア、ノート、ヴィッツと戦わなくてはいけない状態となってしまいます。この頃のトヨタはコンパクトクラスでは価格でヴィッツ、燃費でアクアという住み分けを完了していたため、フィットはリコールによるイメージの低下から、価格重視派、燃費重視派、双方の無党派層をトヨタに持っていかれてしまうことなります。
年次改良やマイナーチェンジを繰り返した現在のフィットの売りはホンダカーズ東京のセールスマンに聞くと、「クラス最高の室内空間の広さとラゲッジスペース、そしてホンダセンシングによる安全性」といいます。
実際、「フィット」の後席はかなり広く、クラスでは一番の余裕を持っているといえます。また「ホンダセンシング」の機能のひとつ、前車追従型クルーズコントロールを「ノート」に先駆けて装備し、アクセルとブレーキの半自動化は高速道路などでの利便性でのアドバンテージになり得ます。この部分ではアクアは衝突時の被害軽減ブレーキしか備えていません。そしてハイブリッドシステムはクラスが上のジェイドにも搭載されているもので高速性能においても満足のいくものです。
各車、燃費を訴求力の軸としながらも空間効率と市街地燃費の「ノート e-Power」と、スポーティさと高速燃費の「アクア」では顧客層が少し違うのですが、その空間効率と高速燃費の両方を併せ持つ「フィット」はハイブリッドをもっと強調することが最善かと思います。そのハイブリッド車のベーシックモデルではフィットが一番価格が安いのですから。
軽自動車を除き、日本の販売台数で一番売れているコンパクトカークラスですから、各メーカーも次々と改良を重ねて商品の魅力をアピールしようとしています。市場の活性化のためにも、さらなる三つ巴の戦いが繰り広げられることを願いたいものです。
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