GT-Rや軽まで… 右ハン禁止の北米でなぜか「右ハンドルの日本車」が人気急上昇のワケとは
アメリカ人が右ハンドル車に魅力を感じる理由は?
2000年代以降、カナダやアメリカの車好きの若者の間では日本車ブームが急激に高まりました。いわゆるJDMブームです。JDMとは、Japan Domestic Marketのことで、「日本国内市場向けの仕様」を意味します。
基本は走りに振ったカスタム&チューニングになりますが、たとえばオレンジ色のウィンカー(アメリカで赤色)や小径ホイール、カーボン製のエンジンフードやエアロ系パーツがおなじみで、日本ブランドの高性能パーツに交換することもJDMに含まれます。
また、日本語のステッカーを貼ることも人気です。そんな北米のJDMファンにとって、究極のJDMが「右ハンドルの日本車」なのです。日本車を右ハンドルで乗る、長年日本で使われていた車をアメリカで乗ることは、最高のステイタスでもあるそうです。
日本人は走行距離が少なく(北米平均の約3分の1)、車を綺麗にして乗るのはもちろん、厳しい車検も定期的に行われるため、少々古くてもコンディションが良く、ボディのキズやへこみ、塗装はげなどもほとんどありません。究極のJDMであると同時に、大変高品質な中古車であることも魅力なのです。
SEMA 2018で出会った究極のJDM、右ハンドルの日本車
●トヨタマークII
オーナーはかつて日本に住んでいたそう。25年ルールで解禁になるのを待って大好きなマークIIを日本から輸入しました。
●日産スカイラインR34 GT-R
R34GT-Rは1999年1月発売なので、アメリカでは早くても2024年に輸入解禁となるため、こちらのR34は15年ルール適用のカナダルートで入手したそうです。
●ホンダ アクティストリート
SEMAショーのブースで遭遇。日本の軽自動車が大好きなオーナーです。もう1台、ハイゼットワゴンも持っているそう。オーナーいわく「アクティもハイゼットもとても小さいのにたくさん荷物が積めるのが最高。シートがフラットになるのもいいよね。古い車だけどほとんど故障もないし、シンプルな構造だから修理も簡単で助かっているよ」
●トヨタ「センチュリー」
SEMAの会場前で遭遇。センチュリーはほとんど海外に出ていない車なので、ラスベガスの街を走る右ハンドル仕様のセンチュリーは激レアであることは間違いなし。(左ハンドル車はかつて、海外の日本大使館用に100台程度が製造されたことがあり?)
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環境に悪影響を与えるという理由で、日本は自動車税その他の税額が高くなったり、車歴10年&走行距離10万km超になると急激に価値が下がったり…。日本は古い車が大切にされにくい国ですが、アメリカやカナダでは海外製であっても古い車を大切に扱ってくれているようです。
右ハンドルの日本車が輸入解禁となるのを待ちわびている北米プレオーナーのもとに、良質の日本車が届くと良いですね。きっと末永く大事に乗ってくれることでしょう。
【了】
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。