「RAV4」開発の裏にあった「匠の五感」と「最新デジタル」の融合! “ヒト中心の走り”を作り込む匠と次世代エンジニアはトヨタの絶対エースSUVをどのように進化させたのか【PR】
トヨタを代表するグローバルSUV「RAV4」。6代目となる新型の開発現場では、官能評価を担う「匠」と、最新デジタル技術を駆使する次世代エンジニアが連携し、数値やデータにとらわれず「ヒト中心の走り」を追求する徹底した取り組みが行われていました。匠の感覚をどのようにデジタルで反映し、進化へとつなげたのか。キーマンたちの証言からクルマづくりの裏側に迫ります。
技術が進化しても“人とクルマの距離”を広げない
こうした現場の熱気を受け止め、RAV4という巨大なプロジェクトをチーフエンジニアの太長根嘉紀氏の番頭として統括してきたのが、製品企画を担当するMS統括部ZVの久米川達矢氏です。久米川氏はこのクルマが背負う二面性と重責について語ってくれました。
「RAV4は、もともとこれまでにない領域を切り拓くチャレンジャーとして生まれたクルマです。今回の新型でもトヨタ初となる新技術や新機軸のアイテムが数多く投入されています。
一方で、グローバルで年間100万台規模をお届けするエースとして、絶対に失敗は許されません。だからこそ社内のあらゆる部署が『RAV4のためなら』とワンチームになってサポートしてくれる、特別な存在でもあるんです」

100年に一度の大変革期において、電動化が進めば進むほど、人間とクルマの距離が離れていく懸念があるのも事実です。
「電動化が進むと、パワステが油圧から電動へ、さらに4WDの駆動方式がプロペラシャフトを介した機械式からモーター駆動へと変わることで、これまでのメカが持っていた人間味やダイレクトな感覚がどんどん遠のいていってしまう傾向があります。
だからこそ、失われた感覚を電動化の技術でいかに再現し、補完していくかが極めて重要になるんです。リヤモーターの駆動特性を活かして旋回姿勢をつくり出したり、人間の感覚に限りなく寄り添ったトルク制御を実現したりする。メカがソフトに置き換わっても、私たちが目指す『ヒト中心の走り』にブレはありません」

さらに久米川氏は、組織が巨大化する中での“クルマ屋のあり方”についても熱く語ってくれました。
「会社が大きくなり、効率化や分業が進むと、どうしてもエンジニア一人ひとりが『クルマ屋目線』から離れていってしまう危険があります。だからこそ、匠から受け取った感性を論理化し、それを改善につなげてまた匠に感じてもらう。この相互のやり取りを若い世代とともに継続できる風土をつくることが、何より大切です。
クルマの良し悪しはスペックや装備も大事ですが、それ以上に関わったエンジニア一人ひとりが『このクルマはここが良いんです!』と自分の言葉で語れるストーリーがあるかどうかだと思っています。そのストーリーこそが、最後はお客様の心に響くのだと信じています」
互いに寄り添いながらデジタルを駆使して人間の感性を形に
このように皆さんの話を聞いていると、筆者(山本シンヤ)は「クルマづくりは変わっても、やはり最後は“人”だな」と確信しました。
昨今、中国のメーカーが1~2年という猛スピードで新車を繰り出す中、トヨタのこの泥臭いアプローチは一見、非効率な遠回りに見えるかもしれません。

ただ、クルマは家電と違い命をゆだねるモノです。装備や数字を並べるだけでは、ドライバーが心から安心できるクルマにはなりません。
そこに「人の感性」や「クルマ屋としての魂」をどう込めるか。Areneのような高度な車載ソフトウェアプラットフォームが普及したとしても、そこに注ぎ込む思想が空っぽであれば意味がないのです。それこそが、トヨタが絶対に譲ってはいけない生命線なのだと感じます。

高精度のシミュレーターやデジタル技術を極限まで使い倒すことで、机上でできる試行錯誤を圧倒的なスピードでこなす。そうして浮いた貴重な時間を、今回のような匠との泥臭い実車でのすり合わせという『最も贅沢な領域』に全振りする。デジタルを道具として使い倒し、その先に「究極のアナログ(人間の感性)」を実現する。
そして何より、匠とエンジニアがお互いを知るための最高の“翻訳機”は、言葉でもPC画面でもなく、やはり「クルマそのもの」だったということ。実際に同じクルマに乗り、同じ横Gやロールを感じ、同じ状況に共感する。そうすることで、課題の解像度も、解決に導くスピードも一気に跳ね上がります。
相手の苦労を思いやり、匠はエンジニアのために感覚を伝え、エンジニアは匠のために数式の精度を高める。ここには、豊田章男会長が繰り返し語ってきた、「自分以外の誰かのために」というトヨタの原点にある考え方が、クルマづくりを通して見事に息づいているのではないかと思います。
裏を返せばかつてのトヨタはそれが「できていなかった」とも言えます。「言ってもどうせ通じない」「設計側が勝手に決めた数字だから」「評価ドライバーはダメ出しするばかりで開発の苦労を知らない」といった「できない理由」を議論することに偏りがちな傾向がありました。
要するに巨大組織の中で、互いにセクショナリズムという殻に閉じこもっていた時代があったのも事実でしょう。
ただ、相手の苦労を想像せず、自分の担当領域の数字だけを守ろうとしていた過去の反省があるからこそ、今、彼らは泥臭く同じクルマのシートに座り、同じ汗を流しているのです。
取材の終盤、佐藤氏と片山氏が若手エンジニアたちに向けた言葉が、極めて印象的でした。
「育成において、昔のように『背中を見て技を盗め』なんて言うつもりはありません。私たちは若手の隣に寄り添い、迷ったときにいつでも相談に乗る壁打ち相手でありたいと考えています。自分たちと同じやり方を押し付けるつもりもありません」(佐藤氏)
「ただ、一つだけ伝えたいのは、『95点までできたから合格』で終わらせないこと。残りの5点、その極めて狭い領域をどう埋めるかにこそ、エンジニアの執念が宿り、お客様の心を打つクルマの魂が宿るんです」(片山氏)
ボディ設計の和田守氏、シャシー設計の河西氏、そしてADASチームの熊井氏、後藤氏ら次世代エンジニアたちも、頼もしい表情で頷き合っていました。
「匠の言葉をただ聞くだけでなく、自分たちのエンジニアリング言語に翻訳する。そして自分たちのデータを、匠の感性に寄り添う形でフィードバックする。
画面上の数字の世界に閉じこもるのではなく、自らステアリングを握り、クルマ屋目線でクルマと対話する。匠から受け取った感性のバトンを、世界中のお客様を笑顔にするクルマづくりへとつなげていきます」(和田守氏)
データ至上主義でもなければ、根拠なき職人技の押し付けでもありません。互いの専門性をリスペクトし、妥協なきすり合わせを重ねたからこそ、新型RAV4の走りはこれほどまでに濃密で、乗るたびに身体へと馴染む自然な仕上がりになったのです。
かつてバラバラだった部署が、クルマという共通言語を通じて「自分以外の誰かのために」つながり直したとき、トヨタのモノづくりはもっと強くなる。
激動の変革期にあっても揺るがない日本のクルマづくりの真価と矜持を、このチームの眼差しの中に確かに見ることができました。すべてはもっといいクルマづくりのために。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

















































