自動車整備業界はどう変わる? 事業規制と資格要件のアップデートが迫る! 未来のキャリアを築くための7つの変更点【PR】

未来の自動車整備士を目指す人へ。2027(令和9)年1月、自動車整備士制度が改正されます。なぜ今、制度見直しが必要なのか? 事業規制から資格要件までアップデートされた背景と、これからの整備士に求められる能力を詳しくご紹介します。

【この記事のポイント】

  • 自動車整備士の制度改正が行われる
  • なぜ制度改正が行われる?
  • 7つの変更点とは
  • 高度化する整備技術は専門学校で学ぼう
目次

自動車整備制度が大きく変わる!整備士と事業規制の両面で改正

 2027(令和9)年1月から、自動車整備士制度が改正され、大きく変わります。

 自動車の先進技術は日々進化し、軽自動車や小型車をはじめとした幅広い車種に搭載され、私たちの生活にも身近な存在となりました。

自動車の先進技術は日々進化し、自動運転や電動化技術はすでに私たちの身近にある。この技術進化に対応するため、自動車整備士はより高度な知識と技能を習得する必要がある

 しかし、現行制度は施行当時の技術を前提に作られており、現在の新技術に十分対応できていないのが実情です。

 このため今回の改正では、高度化する自動車技術や、今後さらに普及が見込まれる電動車・自動運転技術への対応、そして新しい時代に適応できる自動車整備士の育成を目的に、制度が見直されることとなりました。

自動車の電子化は進み、故障診断や修理には専用のコンピューターシステムが必要不可欠である。整備士には、機械的な知識だけでなく、電気や電子制御の専門的な知識が求められる

 さらに、自動車整備士だけでなく、自動車整備事業にも大きな変更があることをご存じでしょうか。

 国土交通省は、自動車を取り巻く環境の変化や整備士の人材不足といった課題に対応するため、自動車整備事業の規制見直しと法令改正を行いました。

 2025年7月の公布と同時に既に施行されているものもありますが、一部は2025年10月8日と2029年4月にそれぞれ施行予定です。

 今回は、自動車整備の事業規制がどのようにアップデートされたのかをご紹介します。

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どれがどのように変わる!? 変更点を詳しくチェック!

 今回の改正は、整備現場の負担を軽減し、より効率的に運用できるよう柔軟に対応した内容となっています。

昨今の自動車は電子機器が多用されており、整備する側も知識が求められる。新制度は、資格取得のプロセスを簡素化し、電子制御装置の整備に関する研修を拡充することで現場の負担を減らしつつ、技術向上も図る

 同時に、自動車技術の高度化や電子制御・高度安全技術への対応が不可欠になっていることを象徴するアップデートでもあります。

 それでは、7つの変更点を一つずつ詳しく見ていきましょう。

(1)認証工場の機器要件の見直し

 認証工場が備えるべき整備用機器は、道路運送車両法施行規則によって定められていますが、整備技術の変化に伴い、使われなくなった機器や新たに必要となった機器が生じています。

 現場からは「使われなくなった機器は認証基準から外してほしい」「自動車の電子的な整備に対応するためには、整備用スキャンツールが必要」という声が上がっていました。

◆主な改正点
・電子整備に必要な整備用スキャンツールの設置を必須とします(認証の新規取得時などから義務付け)。
・タイヤの傾きを測定する機器の設置は不要になりました。
・小型・軽・二輪の整備に使用しない機器は、普通(大型)・普通(中型)・大特を扱う工場を除き、設置は不要です。
・エンジンやバッテリーの機能確認のための機器は、整備用スキャンツールがあれば不要になります。

(2)指定工場(大型)の最低工員数の緩和

 指定工場における最低工員数は、点検整備・検査の分業体制を考慮して通達によって定められていますが、近年は省力化のための設備・機器が普及しています。

 また、人手不足で最低工員数を満たせず、指定を返上する事業者も出てきています。

質の低下を招くことなく、指定工場の維持と地域の整備能力を確保するため、設備の省力化と適切な管理体制を前提とした最低工員数の緩和が実施された(画像は日産自動車大学校横浜校の実習場)

 現場からは「最低工員数を満たせず指定を返上せざるを得ない。このままでは地域の整備能力が不足する恐れがある」との声が上がる一方、「単純な緩和は、点検整備・検査を適切に実施できない事業者を生むおそれがある」という意見もありました。

 こうした背景から、「設備の省力化を前提に、指定工場の最低工員数を緩和してもよいのではないか」という意見が出されました。

◆主な改正点
 以下の要件を満たす指定工場(大型)の最低工員数を5人から4人に緩和しました。

・省力化設備・機器が導入されていること
・合理的な管理体制が適切に確保されていること
・工員の処遇が確保されていること
・工員の質が適切に確保されていること

 指定工場(中型・小型・二輪)の最低工員数(4人)については、引き続き調査・検討が行われます。

(3)自動運転車の検査員要件の強化

 指定工場での検査は自動車検査員でなければ行えず、その選任要件は指定自動車整備事業規則で定められています。

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 自動運転車は電子制御装置の塊であるため、その検査には電子制御の高い専門性が求められます。

 事業者からは「自動運転車の検査は、電子制御に関する知識・能力を有する1級自動車整備士に行わせるべきだ」という意見が出ました。

 また、「そうすることで1級自動車整備士の価値向上にもつながる」「自動運転車の普及に合わせ、十分な数の1級自動車整備士が必要となる」との声も上がっていました。

◆主な改正点
 自動運転車(レベル3・4の自動運行装置を搭載した車両)の検査を行う自動車検査員は、現在の要件に加え、1級自動車整備士資格を保有している者の中から選任しなければなりません。

 施行日時点で自動運転車の検査を行っている指定事業者は、4年間は2級の自動車検査員にも自動運転車の検査をさせることができます。

 この改正は2029年4月1日に施行されます。

自動車整備士資格取得にあたって、座学の重要性が高まっている。その分、実務経験期間の短縮が実施された

(4)自動車整備士資格の実務経験年数の短縮

 自動車整備士資格を取得するには、自動車整備士技能検定規則にのっとり実務経験を満たし、技能検定試験に合格する必要があります(専門学校などの養成施設を修了した場合は実務経験が免除されます)。

 整備作業が機械中心から電子中心に移行する中、作業経験よりも座学の重要性が高まっています。

 事業者からは「高校生が3級自動車整備士資格を取得後、2級取得までに3年もかかるのはあまりに長い。それが理由で整備士を諦める若者もいる」「若者が整備士を目指しやすい資格体系にすべきだ」との声がありました。

◆主な改正点
 2級、3級、特殊の自動車整備士資格を取得するために必要な実務経験期間を短縮しました。

・2級自動車整備士:3年 → 2年
・3級自動車整備士:1年 → 6カ月
・特殊自動車整備士:2年 → 1年4カ月

(5)「電子」点検整備記録簿の解禁

 自動車の使用者は、紙の点検整備記録簿を自動車に備え置く必要があります。

 ディーラーなどでは記録簿の内容を電子形式で管理していますが、別途、紙の記録簿も交付しています。

 現場からは「点検整備記録簿も、指定整備記録簿や自賠責保険証と同様に電子的な保存を可能にしてほしい」という声が上がっていました。

 ただし、「求められた場合に速やかに提示できることを条件とすべきだ」との意見もありました。

◆主な改正点
 点検整備記録簿の電子的な保存を可能とします。紙での保存も引き続き可能です。

 保存方法は、SDカードなどの外部メディアの保存ファイル、スマートフォンなどに保存したファイル、紙の記録簿のスキャンファイルなど、多様な形式が認められます。

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オンライン研修・講習が解禁されるが、実技講習は引き続き対面で実施される

(6)オンライン研修・講習の解禁

 整備主任者研修および自動車検査員研修は、法令で義務付けられていますが、対面による実施が原則です。

 自動車整備士養成施設における講習も対面で行うこととされています。

 事業者からは「他業種で行われているオンライン形式を導入すべきだ」「オンラインでの研修・講習が解禁されれば、講師と受講者の双方にとって柔軟な対応が可能となり、人材の効率的な活用につながる」との声がありました。

◆主な改正点
 整備主任者研修・自動車検査員研修のうち、座学についてオンライン方式を認めることとしました。

 自動車整備士養成施設における座学講習についても、オンライン方式を認めることとしました。

実技講習は、引き続き対面で実施されます。

(7)スキャンツール等による点検可能範囲の拡大

 点検整備の方法は「自動車の点検及び整備に関する手引」に定められていますが、各装置の点検は目視や操作による方法が中心でした。

 しかし、自己診断機能を搭載した自動車では、スキャンツール等を用いて同等の点検を行うことが可能です。

 現場からは「技術的には、スキャンツール等による点検でも、目視等による点検と同等の効果が得られる」「スキャンツール等による点検で作業時間が短縮されれば、作業員1人あたりの付加価値向上につながる」という意見が上がっていました。

◆主な改正点
 点検項目について、目視に代わってスキャンツール等による確認を認める範囲が拡大されました。

 例として、従来はノギスなどで測定していたブレーキと床面のすき間がスキャンツールで確認できるようになり、1台あたり平均3分15秒の作業時間削減が期待できます。

 この改正は2025年10月8日に施行されます。

制度改正は転換点 ―― 整備士の価値はこれからさらに高まる

 今回改正された自動車整備の事業規制は、2027年に見直される自動車整備士制度とともに、自動車業界にとって大きな転換点となるでしょう。

自動車の先進技術が普及する中、整備士には従来の機械的な知識に加え、電子制御に関する専門性が求められる。今回の制度改正は、整備士の質の向上と、自動車産業全体の発展に寄与するだろう

 自動車は社会に欠かせないインフラであり、私たちの生活を支える存在です。

 その自動車の安全と人々の生命を守るのが、自動車整備士という仕事です。

複雑化する電子制御や自動運転技術に対応するには、専門学校で体系的に学ぶことが欠かせない。最新の設備で実践的なスキルを磨くことが、これからの整備士に求められる

 近年「AIに奪われない仕事」という言葉を耳にする機会が増えましたが、自動車整備士はまさにその代表例です。

 なくてはならない存在であり、今後さらにその価値は高まっていくでしょう。

 さらに、自動車は今後一層複雑化し、それに伴い整備士に求められる知識や技術も大きく変化します。

 だからこそ、整備士を目指すなら体系的に学べる学校で基礎をしっかりと身につけ、実践を通じて最新技術に触れておくことが、将来のキャリアを築く上で確実な一歩になるのではないでしょうか。

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