働きながら学ぶ？ 学校に通う？ 自動車整備士を目指すルートは大きく2つ

「自動車整備士について調べてみたけど、逆にどうすればいいのかわからなくなった」という声を筆者（香田真一）は耳にすることがあります。聞けば、学び方について自分に合った方法はどれなのかわからなくなってしまったようです。

　自動車整備士を目指す際、選択肢は大きく分けて2つあります。

　働きながら独学で勉強し自動車整備士の国家資格取得を目指す方法と、専門学校などの養成施設に通い、技術や知識を学んで卒業と同時に受験資格を得る方法です。

　それぞれメリット・デメリットがあります。

　働きながら独学で学ぶ方法は費用を抑えることができ、自分のペースで学べますが、受験資格である実務経験を積む必要があり、3級・2級・1級とステップアップして受験することになります。そうなると、未経験から整備工場で働きながら資格取得を目指した場合は、1級資格取得までに最短でも7年以上かかる計算となります。

　一方、専門学校などの養成施設で学ぶ方法は、確かに4年で1級資格取得することが可能で、なおかつ試験での実技試験が免除されますが、費用がかかります。自分に合った方法はどちらなのか、あらゆる角度から検討してみるといいでしょう。

　前の項で、専門学校に通うことのメリットについて「自動車整備士資格試験での実技試験免除」「最短で資格取得が可能」などを挙げましたが、他にも利点はあるのでしょうか？ ここでは日産自動車大学校を例に見ていきましょう。

専門学校に通う最大のメリットは「資格試験の実技試験免除」 他にもまだある、こんな特色！

1.自動車整備士資格試験の実技試験が免除

　専門学校で学ぶ際の最大のメリットは国家資格である自動車整備士試験の実技試験が免除になることです。自動車整備士試験の実技試験は、受験者数が少ないことも関係してはいますが、合格率は2024年1月に実施された試験では2級ジーゼルは33.3％、3級ガソリンで57.3％と難易度は高めになっています。

　実技試験が免除されるからといって、実技の経験が足りなくなるという心配はありません。学校では充実した実習環境と機会が豊富にありますので、自動車整備士として働く際には即戦力として活躍できるでしょう。

2.最短で資格取得が可能！

　先ほども説明しましたが、独学で自動車整備士資格の取得を目指す場合は、認証工場や指定工場といった整備工場で見習いとして働きながら実務経験を積み、勉強をする必要があります。

　自動車整備士資格試験の受験には、実務経験が3級では1年以上、2級と1級ではそれぞれ3年以上必要です。そうなると前述のとおり、未経験から1級資格取得まで最低でも7年はかかる計算になります。

　一方、専門学校などで学ぶ場合、1級整備士を目指すコースでは2年生の時点で2級の受験資格を取得し、4年間の課程を修了した際には1級の受験資格を得ることができます。

　専門学校に通っていたら必ず1級に合格できるという保証があるわけではありませんが、実技試験の免除と学校ならではの受験対策とノウハウは心強いものです。

　独学のメリットももちろんありますが、自分にとってどちらを優先したいかを考えてみると良いでしょう。

3.徹底した試験対策！ 高い国家資格合格率

　前の項でもご説明しましたが、専門学校などの養成施設には徹底した受験対策と蓄積されたノウハウがあります。

　それらと合わせて国家試験の実技試験免除が一助となり、日産自動車大学校での合格率は平均よりも大幅に高くなっています。2級自動車整備士資格に関しては、合格率99.2％（2023年度 日産校5校実績）です。

　受験に向けた模擬試験や特別講習はもちろん、国家試験対策授業を担当する講師による国家試験対策チームを設置し、情報交換や分析を行うなど学校一丸となっての受験対策は、学校で学ぶことの大きなメリットでしょう（引用：高い国家試験合格率の理由）。

4.就職率100％を実現！

　自動車整備士は資格を取得したら終わりということはなく、就職してからが本番です。自動車業界に限らず、専門学校の強みはその分野の資格取得はもちろん、就職に強いことです。

　日産自動車大学校の就職率は100％を達成しており、メーカー提携校の強みを生かしてディーラーでのインターンも実施しています。一人一人の個性や適性、能力を考慮しながら、就職までのサポートが充実しているのも専門学校ならではです。

5.学習・学生生活の両面から手厚くサポート

　資格取得に向けて独学で勉強をすることにおいて、1番難しいのは学習計画を立てることではないでしょうか。

　独学の場合、勉強方法はインターネットなどで検索すれば出てくるものの、具体的な勉強の仕方や試験の際のコツなどはわからないので手探りでやっていくことになるでしょう。

　専門学校では国家試験対策はもちろん、普段の学習の理解度を測るための試験や個別指導、一人一人に合わせた指導があることもメリットのひとつです。

　また学習面だけではなく、より良い学生生活を送るためのサポートに力を入れている学校も数多くあります。

6.充実した実習環境。広い実習場や豊富な実習車はメーカー提携校ならでは！

　専門学校の魅力はなんと言っても実習が挙げられるのではないでしょうか。

　自動車整備士に必要な技術を身につけるには実際に分解・整備を行うことが大切で、実際の車両を利用した実習は欠かせません。

　日産自動車大学校では広い実習場や豊富な教材車両を少人数で使用でき、電気自動車（EV）などを使った実習もあります。

7.同じ夢を持つ人、仲間と出会える

　学校に通うことで仲間や人脈が得られるというメリットもあります。

　同じ夢を持ち、苦労をわかち合える存在は貴重なのではないでしょうか。また、疑問点がある場合、気軽に相談できる環境は、学びという面においても非常に有益です。

　より高度化する自動車技術に対応できる自動車整備士の育成や、近年社会問題となっている人材不足に対応するために、2027年から自動車整備士の制度が改正されます（一部の制度は公布された2022年5月25日時点で適用済み）。

　自動車の先進技術は日々進化し、私たちにとっても身近なものとなっています。そういった技術だけではなく、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車（FCV）など新たな動力を用いた自動車も、今後はさらに普及していくでしょう。

　そうなると、自動車整備士に求められる知識や技術は今よりも多く、複雑になっていきます。

　そして、制度改正によって区分が変更されることになり、今よりも学ぶ範囲は広く、増えていくことが予想されます。

自動車整備士制度改正で、養成施設で学ぶことがより有利に！

　確かに独学で自動車整備士を目指すことは可能ではありますが、専門学校で学ぶことがより有利になっていくのは確実でしょう。「蓄積されたノウハウ」「充実した実習環境」「徹底した受験対策」は学校で学ぶことの、何よりの強みです。

　最短で、確実に自動車整備士を目指すなら、専門学校などの養成施設に通うことをおすすめします。