前哨戦モロッコラリーでも好感触! ランクル300でダカールラリー市販車部門11連覇を狙うTLCとタッグを組むトーヨータイヤ「オープンカントリー」のポテンシャルとは【PR】

世界一過酷なモータースポーツと呼ばれているダカールラリーですが、強豪「チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)」は2024年も参戦、市販車部門でチーム11連覇を目指します。前回、ニューモデルであるトヨタ「ランドクルーザー300」を初投入しましたが、ランクル300での参戦2年目、そしてタッグを組むトーヨータイヤとは3年目を迎えるダカール2024を前に、前哨戦であるモロッコラリーに挑戦しました。

前回モデルの改良点 リアサス取り付け位置変更は好感触

 トヨタ車体「チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(以下 TLC)」が、2022年に引き続き「モロッコラリー2023」に「300系ランドクルーザー(以下 300系ランクル)」2台体制で参戦、2024年1月にサウジアラビアで開催される「ダカールラリー2024」に向け、クルマの仕上がりを確認しました。

ダカールラリーの前哨戦、モロッコラリー2023に参戦したTLC「ランドクルーザー300」。ダカールラリー本番まであとわずかだ

 モロッコラリー(Rallye du Maroc)は、2000年よりアフリカ大陸北西部のモロッコにて毎年おこなわれている国際的なラリー競技会です。今年は10月12日から18日にかけて開催されました。

 今回、新たにチームに加わったマイヨール・バルベ選手と新コンビを結成し実戦に臨んだトヨタ車体の社員ドライバー、三浦 昂選手は、参戦意図を以下のように語ります。

「前回のダカールラリーを終えてからこれまで、『ベースとなる300系ランクルのすぐれた走破性を損なうことなく、ハイペースで走るラリー車としての信頼性を高めていくこと』をテーマに、参戦車両をチーム一丸となって開発してきました。それがきちんと実現できているかどうかを実際のラリーを通じて確認することが、大きなテーマでした」

ドライバーの三浦 昂選手(右)。左は今回から三浦選手とタッグを組むコ・ドライバーのマイヨール・バルベ選手

 同時にこの参戦で、“長いスパンでのダカールラリーのコース難度の変化”を感じ取ったと言います。

「これまで、ダカールラリーに使うコースは、現地の人が使うやや荒れた生活道路をつなぐように設定されていました。しかし参加車両のスペックが高くなり、ラリーのペースが速くなったことで、開催後の道路はわだちが深くえぐれてしまうことが多くなりました。

 実際、私たちのような市販車部門のクルマでさえ、わだちにタイヤを落とすとリアデフが地面に接触し走れなくなるほどで、開催後に一般のクルマが再び生活道路として使うのは困難になっていたのです。そこで主催者は、使われなくなり荒れてしまった廃道などをコースに指定するようになりました。こうした変化は前回のダカールラリーでも感じてはいましたが、今回のモロッコラリーでより強く実感できました」

 この難易度の高いコースに、TLCは300系ランクルにさらなる改良を加え、投入しました。

硬いグラベル路面を走行するゼッケン250番の三浦選手/バルベ選手組のTLC 300系ランクル

「大きな改良点は、リアサスペンションとリストリクターです。前回のダカールラリーでは、リアサスのショックアブソーバーが岩や飛び石などの障害物に接触してたびたび破損していました。より太く頑丈なショックアブソーバーにスイッチすれば対応できるんですが、市販車部門ではレギュレーションにより、変更範囲には限りがあります。そこでサスペンションのレイアウトを見直し、リアサスの取り付け位置を約200mm上に移動、路面とのクリアランスを拡大するとともに、ショックアブソーバーに過剰な負荷をかけることなく動かせるようにしました。

 エンジンへの流入空気量を制限するリストリクターはターボ車の出力制限のため取り付けが義務となっていますが、そもそも装着されていないパーツを付けたことで、ターボが埃(ほこり)を取り込みやすくなり、タービンの故障につながっていました。そこで主催者と交渉し、取り付け方法の変更を認めてもらいました」

 これらのふたつの改良は、今回のモロッコラリーでその効果を確認できたそうです。

「比較のため、前回の2023ダカール仕様のままで出走したもう1台はショックアブソーバーの毎日メンテナンスが必要でしたが、改良型は最終ステージまでノートラブルでした。さらにサスペンションは再設計によりショックアブソーバーによる減衰とタイヤによる減衰とのバランスがよくなり、大きな入力でもうまくいなすことで、ショックアブソーバーへの負担軽減に効果があっただけでなく、タイヤのパンクもきわめて少なくなりました。

 またリストリクターの取り付け位置変更にともない空気を吸入するシュノーケルの形状を再検討し、より吸気効率を高めることができる形状に変更しました。これにより、アクセルレスポンスが向上し、さらにエンジンの燃焼がより理想に近くなったことで熱対策にもゆとりができました」

モロッコの路面はダカールラリーに近い環境。モロッコラリー参戦は、本番に向けた過酷なテストという意味合いがある

 一方、本番のダカールラリーの前に新たな課題が判明し、これに対応できる“幸運”にも恵まれました。

「ひとつは、自分が第1ステージで遭遇したステアリング系のトラブルです。パワーステアリングのギアボックスにつながっている油圧ホースが緩み、終盤の70kmをパワーアシストなしで走ることになったのです。これはラリーという特殊な環境下では、市販車の規定トルク以上の大きなトルクで締め付けられるべきボルトの管理が適切でなかったことに起因するものでした。

 もうひとつは、深いわだちで路面の障害物がヒットしたことによる、リアデフのトラブルです。ここも繰り返しの衝撃でボルトが緩んでしまったことが原因とわかり、その場でより強度のあるボルトに交換する対応をとりました。どちらもトラブルなしに見過ごされていたら、ダカールラリーで大きなハンディキャップになっていたかもしれません」

 モロッコラリー2023では、三浦 昂選手/マイヨール・バルベ選手組が最終ステージでリタイア、もう1台のロナルド・バソ選手/ジャン・ミッシェル・ポラト選手組が総合39位、市販車部門優勝というリザルトを残しました。

砂丘を越えるゼッケン251番のロナルド・バソ選手/ジャン・ミッシェル・ポラト選手組のTLC 300系ランクル
モロッコラリー2023ではロナルド・バソ選手/ジャン・ミッシェル・ポラト選手組が総合39位、市販車部門で優勝した

「残念ながら最終ステージで駆動系のトラブルに見舞われ、その場での修理がかなわず、リタイアという結果になりました。ただこれは速さと耐久性を試すために限界に近い領域で走ったことによるもので、逆に『どこまで攻めればトラブルにつながるか』がわかったことは、収穫だと思っています。ダカールに向け、エンジニア、メカニックともども、このトラブルの原因究明と対策を進めているところです」

TLCにはメカニックとして福岡トヨタの伊藤勇さんと谷上文彦さんの2名が参加。本番のダカールラリーでもチームを支える

【画像】前哨戦モロッコラリーでも好感触! トヨタ 300系ランクルの仕上がりと“世界一過酷なラリー”に挑むタイヤ(35枚)

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