関越自動車道・月夜野インターチェンジを出て、群馬サイクルスポーツセンター（群馬県みなかみ町）に向かいます。クローズドのコースで存分に冬性能を試すためですが、その前に一般道での走りも確認できそうです。

　高速道路を降り、群馬サイクルスポーツセンターに向かう道中は、ワインディングロードが続きます。2日前には大雪が降ったとのことでしたが、取材当日は気温も高く、また道路の除雪能力のおかげもあって、路肩に雪が残っている以外はドライな路面状況です。

　そんななか、峠道を走行しても、しっかりとリアがついてくる感覚が伝わってきます。重心の高いミニバンで、スタッドレスタイヤを履いていてもこれだけの走りができるのは、ウィンガード アイス2に搭載された3Dサイプ技術のおかげもありそうです。これはサイプ同士がかみ合うことでブロックの倒れ込みを防ぎ、剛性を確保するもので、実際にペースを上げて峠道を走ってもタイヤの表面がヨレる感覚がなく、安心して走ることができました。

　これだけドライ性能が良いと、雪道やアイスバーンは大丈夫なのか、と逆に心配になってしまいますが、それは杞憂（きゆう）でした。

　その日の群馬サイクルスポーツセンターは、雪道、圧雪路、シャーベット状の路面、さらにアイスバーンとあらゆる冬路面があり、テストするには好条件でした。

　まずは外周路を走行します。

　発進は、トラクションコントロールを効かせながら速度を上げていきます。また制動もABSを効かせながらガッガッと止まります。雪の路面では、発進時に自分のイメージよりもタイヤが空転して滑ったり、ブレーキング時にイメージした場所に止まらなかったりすると不安になるものですが、なにごともなく加速し、そして一切の不安なく止まります。

　コーナリング時も安心できます。コースの途中、日陰のコーナーにはアイスバーンの路面もありましたが、横方向の滑りは穏やかで、突然グリップを失うということがなく、わかりやすく路面の情報をハンドルに伝えてくれます。ミニバンのVOXYでも、急のつく運転（急発進・急ハンドル・急制動）をしない限り、不安感はまったくありません。

　ウィンガード アイス2には「アドバンスド・ソフトコンパウンド」といって、低温域でも柔軟性を失わず、高温域ではゴムの剛性を保つ特性を持つコンパウンド（原料のゴムに配合物を混ぜた複合ゴム）を採用しています。この両立を可能にするには、タイヤコンパウンドの中にいかにシリカを大量に、均一に入れることができるかということがキモになるといわれますが、ネクセンタイヤではそれを可能とするインターメッシュ型のミキサー（混練装置）を導入しているといいます。

　もう1台、ウィンガード アイス2を装着したアウディ「A4オールロードクワトロ」にも試乗しました。こちらは245/45R18サイズを履いています。

　クローズドのコースということもあり、一般道よりもペースを上げて走行してみましたが、こちらも非常にコントロール性が高い印象。フラットな駐車場に作られた特設コースでは、ここでアクセルペダルを踏むとこういう動き、抜くとこういう動き…と、まるでドライビングの基礎を再現するようで、素直なスタッドレスタイヤという印象を受けました。

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　北極圏に近い、フィンランド・イヴァロにあるテストコース「TEST WORLD」で徹底的に開発テストがおこなわれたというネクセンタイヤのウィンガード アイス2。

　他のスタッドレスタイヤと同じ条件下で横比較をしたわけではないので、冬の性能的に、国産メーカーのタイヤと比較してどのようなポジションにいるのかはハッキリと言い切ることはできませんが、今回試乗した環境では、少なくとも不安に感じたシチュエーションは一度もなく、その実力を改めて実感しました。

　スタッドレスタイヤはほとんどのメーカーがオープン価格なのでなかなか気付きませんが、冒頭に書いたとおり、1シーズン、2シーズン前と比べると全体的にタイヤの価格が高騰しています。

　そんな中、国産メーカーのスタッドレスタイヤにこだわらず、品質の良いものを適正な価格で購入するという選択肢もアリでしょう。輸入ブランドのスタッドレスタイヤで、安心安全のウインタードライブが楽しめる…。今シーズンは、そんな新しい価値観を試す良い機会になるかもしれません。

［Text：根岸誠　Photo：土屋勇人］