ブリザックがさらに進化! 新スタッドレス「VRX3」ライフ性能17%向上の秘密をブリヂストン開発者に聞いた【PR】
摩耗ライフだけでなく、効き持ちも向上している
スタッドレスタイヤのライフ性能というのは、摩耗だけではありません。たとえ摩耗を抑えることができても、2年目、3年目でゴムそのものが硬くなってしまうと、それは性能の低下につながると思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
「従来品のBLIZZAK VRX2では、ゴムの柔らかさを維持するためにオイルなどを配合していました。しかしご指摘のように、時間とともこのオイルが抜けてしまうことでゴムが硬化し、氷上性能が低下してしまいます。BLIZZAK VRX3のフレキシブル発泡ゴムでは、オイルに加え、ゴム部分に分子量が多く、オイルよりも抜けにくい『ロングステイブルポリマー』を配合することで、これまで以上に柔らかさが持続します。社内でおこなったシミュレーションでは、BLIZZAK VRX3の氷上摩擦係数は、約4年使った時点でも、先代のBLIZZAK VRX2の新品時を上回ると想定しています」(井久田さん)
トレッドパタンはイン側、アウト側の指定はありますが、回転方向は指定されていません。ドライでも雪道でも、より性能を高めようとするなら、回転方向を指定したパタンのほうが有利だと思うのですが。
「イン/アウトに加え、回転方向も指定したほうが、絶対性能としては有利な面もあります。しかし指定された回転方向に応じ最適化したトレッドパタンとすると、間違って逆に付けてしまった場合の性能低下が著しくなります。スタッドレスタイヤは、お客さまがご自身で交換することもある商品ですし、カー用品店やタイヤ販売店でも、雪の予報で慌ててタイヤ交換しようと訪れたお客さまで夜中まで仕事に追われることがあります。そうした状況での付け間違いの可能性を低くするため、あえて回転方向は指定していません」(渡部さん)
ブリヂストンの発泡ゴムは、よくスポンジに例えられます。一般的なイメージですが、スポンジは摩耗しやすいという感じがありますが、BLIZZAK VRX3の「アイス路面でよく止まるけど摩耗もしない」というのはどうなんですか。
「おっしゃるとおりで、発泡ゴムの例えとしてはスポンジがいちばんイメージしやすいのですが、空気が入っているから減りやすいというのは、残念なイメージを植え付けられてしまったなと。それは当社としてももうちょっとうまく伝えられればよかったと思うところです。昔からじつはブリザックのライフ性能は悪くはなかったのですが、そういうイメージが付いてしまいました。従来品のBLIZZAK VRX2も耐摩耗性は頑張って向上させたのですが、今回BLIZZAK VRX3は、そこもさらに向上させました」(渡部さん)
タイヤは「バランスの商品」といわれます。つまり、どこかの性能を落とせば、アイス性能だけに特化させたものや、ライフ性能を大幅に向上させたスタッドレスタイヤなどもつくることは可能です。
ですがBLIZZAK VRX3のリリースを見ると、氷上ブレーキ性能20%向上(※)、摩耗ライフ17%(※)向上だけでなく、スノー性能やドライ/ウエット性能、そして静粛性、転がり抵抗など、あらゆる性能が高い水準で保たれています。
「これはブリヂストンのタイヤ開発におけるポリシーなのですが、大前提となるのは『全方位の性能向上』です。新製品を開発するにあたり、さまざまな要望が出てきます。そうした要望に対し『今回はここには目をつぶってこっちを伸ばせばいい』というスタンスであれば、じつは簡単です。アイスに効く、摩耗に効くといった技術を持ってきて、従来品と組み合わせればいいからです。
しかし私たちはそうした妥協はせず、ドライやウエット性能、静粛性など、タイヤに求められるすべての性能を伸ばすという姿勢で開発に取り組んでいます」(渡部さん)
タイヤは多くの人が関わり、そして多くの人の思いが込められている商品だということを、今回のBLIZZAK VRX3の開発者に話を聞いてあらためて実感しました。3名の開発者に、あらためてタイヤづくりの面白さを聞いてみました。
「ゴムって不思議な物質で、毎日ゴムに向き合っている私たちでも、わからないことが多くあります。でもそれが良いところだと思います。わかりきったことをやるのは、教科書で勉強するのと同じじゃないですか。でもゴムは、わからないから自分で手を動かし、工夫し、実験して、その本質に近づき、解き明かしていく。開発にはそういう面白さがあります。そして、時代が求める“タイヤの最適解”は、環境によっても変わっていく。いまできるベストをいつも追いかける努力には、終わりがありません」(井久田さん)
「その“最適解”も、けっしてひとつじゃないんです。たとえば『全方位の性能向上』を目指すなかでも、アイスバーンでの性能を重視するのか、全体をまんべんなく上げていくのか、そうしたコンセプトに応じて、解はいっぱい出てくるんです。そしてどんなゴムを使うかによっても、トレッドパタンの最適解は変わってきます」(佐藤さん)
「トレッドパタンを考えるチーム、ゴムを考えるチーム、さらには材料や製法を考えるチームがしっかりコミュニケーションしなければ、いい製品は生まれません」(渡部さん)
※ ※ ※
タイヤは日々進化していきます。ブリザックが登場した33年前には、現在のBLIZZAK VRX3のような性能は、夢のまた夢だったと思われます。
ですがその性能向上は、それまで開発に関わったすべての人の汗と努力の積み重ねがあってこそのもの。その積み重ねこそ、ブリザックがスタッドレスタイヤの代名詞といわれるような信頼を得てきた証拠でもあります。
33年前には夢だった性能を現在実現しているということは、今後もスタッドレスタイヤは進化を続けていくということでもあります。最後に、今後“理想のスタッドレスタイヤ”がどのようなものになるのか、聞いてみました。
「イメージとしては、サマータイヤでドライ路面を走行するときと同じくらいストレスなく自在に氷雪路面を走行できる、より安全性の高いタイヤですね」(佐藤さん)
「やはり氷上性能と耐摩耗性の双方を上げていくことだと思います。そして、年間とは言わないまでも、秋の終わりに装着し、春遅くまで使えるようにしたら、雪の時期に慌てなくてもいいし、より安全になると思います」(井久田さん)
「究極は、雪道でも凍結路でもサマータイヤがアスファルトを走るときのようにグリップが出せるタイヤでしょうね。そんなオールマイティなスタッドレスタイヤの実現を目指し、さらに研究開発を進めていきたいと思います」(渡部さん)(前編)氷上性能進化の理由についてはこちら
(文中の※)試験条件の詳細はブリヂストンHPをご覧ください