モトクロスマシンでは2ストがまだまだ健在! RZやTZRでお馴染みの「YPVS」も現役で若手を育成中
ヤマハ発動機は、2ストロークエンジンを搭載したモトクロス競技車「YZ」の新型を発売しました。世界中で人気のあるモトクロス競技で近年、2ストロークモデルの需要が増えています。なぜなのでしょう?
アクセルワイドオープン、2ストロークの復権
ヤマハは2ストロークエンジンの開発をまだ辞めていません。バイクファンにとっては嬉しいですよね。公道用モデルではありませんが、モトクロス競技用モデル「YZ85」「YZ85LW」らが搭載する水冷エンジンです。
2019年モデルでは「YPVS(ヤマハ・パワー・バルブ・システム)」を備えました。「YPVS」と聞いて反応してしまったアナタは、80年代のバイクブームを知る熱いバイクマニア世代のはず。
1977-78年のYZR500(OW35K)に採用され、市販車では1983年型のRZ250Rらが搭載したことで知られています。あの頃のヤマハ2ストモデルは「YPVS」って、車体のどこかにステッカーが貼られていましたよね。
これはシリンダーの排気ポート部にバルブを設け、エンジン回転数に連動させてバルブを回転あるいはスライドさせ閉めたり開けたりし、実質上の排気タイミングをコントロールする仕組み。バルブの駆動制御はエンジン回転数、スロットル回度などの情報に基づいて行われ、低中速域のトルクアップに効果があります。
じつはヤマハのオフロード競技車には2ストロークモデルが他にも健在で、キッズ用として登場したばかりの「YZ65」をはじめ、「YZ125」「YZ125X」「YZ250」「YZ250X」とあり、すべてが「YPVS」を採用します。そう、2ストロークエンジンも「YPVS」もまだまだ現役で、新型エンジンも登場していたのです。
しかも、YZシリーズのプロジェクトリーダー・櫻井太輔さんによれば「2016年頃から2ストの販売台数が世界的にまた伸び出している」とのこと。なぜなのか…!? 櫻井さんにもっと聞いてみると、こう教えてくれました。
「シンプルな構造で、まず車体の価格がお求めやすい。ランニングコストや整備の手間という面でも魅力ですし、軽量がゆえにライディングでもメリットが多いのです」